ケトジェニック・ダイエットに挑戦する前に知っておきたいこと

まずは、基本的なことをおさらいておきましょう! 「ケトジェニック・ダイエット」とは、十分な量のタンパク質と上質な脂肪を摂取し、炭水化物を可能な限り避ける食事療法のひとつです。「ケトジェニック食」「ケトン・ダイエット」などとも呼ばれています。

糖質の摂取を厳しく制限するダイエット法「ケトジェニック・ダイエット」

体重を落とす戦略のなかでも、近年とりわけ注目を集めているのがこの「ケトジェニック・ダイエット」です。 上記でも説明したように、炭水化物の摂取を制限する代わりに、卵や魚のようなタンパク質や脂質に富んだ食品を多く摂るというアプローチによって、体内に「ケトン体」を増量させるために考案されたダイエット方法です。 ケトン体を増量するプロセスでは、糖質から作られるブドウ糖の代わりに、体内に蓄えられた脂肪が燃焼されるように食品を摂取していきます。

糖質の多い食物の代わりに、体内脂肪の燃焼に食事の焦点を絞ることで、体に多くの恩恵をもたらそうという考え方です。 その恩恵には免疫力の向上や頭脳、肉体のパフォーマンス改善、インスリンの低下、それに食欲をコントロールしやすくなることなども含まれています。

ケトジェニック・ダイエットに挑戦する前に知っておきたいこと

いっぽう、ケトジェニック・ダイエットでは“食べていいもの”と“ダメなNGなもの”が厳しく分けられているため、減量の実現可能性や健康面での安全性について数多くの懸念も指摘されています。なかには、ケトジェニック・ダイエットがまったく役に立たないとする声さえあるのです。

「ケトジェニック・ダイエットのような極端なやり方は、何かの治療に役立つこともなければ、実際的な目的に役立つこともありません。ただし、癲癇(てんかん)のような神経にかかわる病気がある人の場合は例外と言える面のあります」と述べるのは、栄養に関するアドバイザーを勤めるアラン・アラゴン氏です。

「“良質な脂肪を摂る”というケトジェニック・ダイエットの考え方には大賛成ですが、多くの人がこれほど厳格なダイエットを長く続けられるとは思えません」と、(人気テレビ番組「ザ・ビゲスト・ルーザー」にも登場する)トレーナーのリビィ・バベットさんは以前、豪「ヘラルド」紙にコメントしていました。 豪モナシュ大学のヘレン・トゥルービー博士も、ケトジェニック・ダイエットについて慎重な評価をくだしています。 「みんながケトジェニック・ダイエットを始めるべきだとは思いません。病気治療のためであれば話は別ですが、その場合もきちんとした資格をもつ栄養士の指導に従って行い、バランスよく栄養を摂る必要があります」とトゥルービー博士は注意をうながしています。 マウスを使った研究からも、ケトジェニック・ダイエットをめぐる論争に片を付ける結果は得られていません。 たとえば、生理学に焦点を当てたジャーナル「セル・メタボリズム」で発表されていたある研究では、「マウスをふたつのグループに分け、片方のグループにはケトジェニック・ダイエットのような炭水化物の少ない餌(えさ)を与えた結果、このグループは他方のグループに比べて長生きし、記憶力を調べるテストでもより大幅な改善がみられた」といいます。

しかし、豪「ヘラルド」紙は次の相反する内容も取り上げています。 医学雑誌『ニュートリション&メタボリズム』で発表された高脂肪ダイエットに関する研究では、「脂肪の多い食事をとり続けたマウスが肥満になった」という結果も報告されているのです。

ケトジェニック・ダイエットをめぐる議論に片がつくまでには、いましばらく時間がかかりそうです。しかし、この議論から学べる点はいくつかあります。(1)栄養価の低い炭水化物の摂取を減らすこと、(2)良質な脂肪を恐れないことなどは、普段の食生活に採り入れるべき考え方でしょう。

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Source / Men’s Health USTranslation / Esquire JP※この翻訳は抄訳です。