トライしてみたい?「冷水シャワー」を浴びることによる9つのメリットとは

秘儀的な健康療法に興味がある人なら、エクストリームスポーツ愛好家で「アイスマン (The Iceman)」として知られるオランダ人、ヴィム・ホフ(Wim Hof)の名を聞いたことがあるだろう。低温が好きなあまり、現在、氷中スイミングの世界記録保持者で、氷に全身をつけておく時間を延ばしている人物だ。彼は、セントラルヒーティングの効いた場所を離れると、睡眠の向上からエンドルフィンの生成、免疫機能の強化まで、「連鎖反応的な健康メリット」があると信じている。

氷水のプールに身を浸すなど奇妙だと感じる一方で、ホフの影響で冷水シャワーを浴びる人たちが増え、健康にメリットがあると主張している。そこに科学的根拠はあるのだろうか?

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冷水シャワーを浴びる9つのメリット

アスリートがトレーニングの後、回復を促すのにアイスバッグを使っているのを見たことがあるのでは? 冷水シャワーを浴びるという考え方の基本にあるのは、それととてもよく似ている。

「一般的に冷たさは血管の反応を刺激し、血管収縮(血管を狭くすること)を起こします」と、The Training Roomのヘルス&フィットネス講師ハシット・ジェスワ。

「基本的に、体内で血液を一番必要なところに送るために起こるもので、この場合は生命維持に重要な臓器に送られます。ですから、血液が心臓に戻され、それから肺に移されて補充され、酸素を豊富に含んだ血液が体内に送られていくのです。つまり、新鮮な酸素と栄養分が適切な場所に得られるということです」

「また、低温は、エクササイズの後に起こっているかもしれない炎症を緩和する役にたつので、回復をスピードアップし、痛みを和らげます」

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ヴァージニア・コモンウェルス大学医学部の専門家の研究によると、1日に1〜2度、まずは5分ほど徐々に水を冷たくしていく"調整期間"を経てから、冷水シャワーを2〜3分浴びると、鬱の症状を効果的に軽減できるという。

研究チームは、皮膚にはコールドレセプター(冷受容体)が密集しているため、冷温に触れると交感神経が活性化し、末梢神経の末端から脳に電気的刺激がたくさん送られるので、この前向きな結果が出たと見ている。この結果を裏付けるにはさらに大掛かりな研究をする必要があるとまとめているが、その足掛かりとしては期待できる。

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同様の理由で、火傷した箇所や腰を痛めた際には氷を乗せるのだ。冷たさには麻酔的効果があると、学術誌『North American Journal of Medical Sciences』に掲載された研究では述べている。

基本は、前述ジェスワ氏が大まかに述べたことと同じで、冷たさは血管を収縮させて腫れを緩和し、痛みの信号が脳に伝えられるスピードを遅くする可能性もあるのだ。

熱いシャワーと冷たいシャワーを交互に浴びるというやり方を実践すると、病気による欠勤が29%減るという。2016年の研究では、熱いシャワーを浴びてから冷たいシャワーを30〜90秒勢いよく浴びる人は、暖かいシャワーだけ浴びた人より病欠が少なかったことがわかっている。

トライしてみたい?「冷水シャワー」を浴びることによる9つのメリットとは

「これは、温度変化によるショックで、代謝率があがったことによるものだと思われます」と、ジェスワ氏。「体は機能を加速して、埋め合わせをしようとするのです」

ここでのキーワードはあくまでも"サポート"だ。学術誌『Cell』に掲載された研究で、低温にさらされると、肥満に抗い、代謝を高めて、脂肪燃焼に向くように腸内細菌の構成を変えると明かしているが、この研究はマウスを低温状態に10日間置いた実験をベースにしたものだ。

とはいえ、冷水シャワーを浴びると、カロリーを燃焼させることによって体に熱を作り出すのを助けるタイプの脂肪である、褐色脂肪を活性化するという証拠はある。

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これは意外ではない。冷水シャワーで体温が下がると、体には少しショックなことだからだ。

「体はストレスを感じます」と、ジェスワ氏。「そのため交感神経は"闘争逃避反応"を起こし、突然、より注意深く、俊敏になるのです」

「低温という物理的ストレス状態になると、酸素をもっと求めるようになり、その結果、呼吸数増加を促進し、強制的に体内にもっと多くの酸素を取り込めるようにするのです」

「冷水は肌のためにいいのです」と、ロンドンのメディカルスパ『Regents Park Aesthetics』のエステナース、ケイ・グリーヴソン。「クレンジングの後に冷たい水をサッと濡らすだけでも肌が明るくなります」

「それに加えて、中核体温を閉じ込めるために肌の毛穴が小さくなるので、肌全体の質感や見た目が改善します」と、『Dr. Jonquille Chantrey Clinic』のエステティック医師、マイケル・バーニッシュ博士は言う。

2000年の研究で、研究者は治験者を14度の水に1時間入れた。過激な実験だと思うかもしれないが、体内のストレスホルモン、コルチゾールの値を下げる引き金になった。

ジェスワ氏がすでに述べたように、冷たいシャワーは体内の血管を収縮させる。すると、血液が臓器を温かい状態に保とうと駆け巡り、血液の流れが促進される。血液の循環がよくなることは心臓血管のよりよい健康につながるため、心臓を健康でいい状態に保てるのだ。

とはいえ、低温状態は、体を温かく保とうとして心臓に負担を強いてしまい、結果的に健康を危険にさらす可能性もあることを覚えていくことが大事だと、心臓病研究のチャリティー『British Heart Foundation』は述べている。

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では、冷水シャワーの健康メリットを活用するにはどうすればいい?

「冷水シャワーを浴びるのに最適な方法というものはありません」と、ジェスワ氏。「一定した低温のシャワーを短時間、5〜10分浴びる人もいれば、熱いのと冷たい温度の間で変化させて断続的に浴びる人もいます」

「結論として、体には個人差がありますから、その人に何が一番効果的かということが大事。いろいろと試行錯誤してみれば、どの方法が自分の体にもっとも効果的かわかるでしょう」

そして、冷水シャワーが誰にでも向くわけではないと覚えておくことも大事。心臓の異常や高血圧、免疫機能の低下などの経験があり、冷水シャワーにメリットがあるかどうか心配な人は、まずは医療専門家のアドバイスを受けてみよう。


Translation: Mitsuko Kanno From Harper's BAZAAR UK