米株市場混乱に拍車、オプションディーラーがヘッジ急ぐ動き

(ブルームバーグ): この2営業日の米国株上昇で投資家が疑問に思っているのは、年明けの下落が一服したかどうかだ。そうかもしれない。ただ、値動きを増幅し投資家を一段のボラティリティーにさらしているような水面下の動態があると、金融機関2社は指摘している。

ロッキー・フィッシュマン氏らゴールドマン・サックス・グループのストラテジストは、市場の注文吸収能力が先週の市場混乱時に急速に悪化していたことに気付いた。流動性が相当失われたため、S&P500種株価指数先物のビッド・アスク・スプレッドに基づく指標は新型コロナウイルス感染拡大に伴う2020年の相場急落以来の水準に拡大した。

JPモルガン・チェースのマルコ・コラノビッチ氏を中心とするストラテジストも同様の流動性悪化を確認した。デリバティブ(金融派生商品)のヘッジで株式を売買するオプショントレーダーが現在、既存の市場トレンドに持ち高を大きく傾けることが求められる「ネガティブガンマ」(売り持ち)のポジションを取っていることに留意した。

 米株市場混乱に拍車、オプションディーラーがヘッジ急ぐ動き

コラノビッチ氏はリポートで「S&P500種が約4600を下回ったままである限り、ディーラーは相場の堅調な時に買い、軟調な時に売るネガティブガンマだ」と指摘。「これは相場の動きを増幅させるだろう。市場の流動性・厚みが低い現況では特にそうだ」とコメントした。

相場は引き続き大きく動いている。1月31日には、小型株やリスクの高いハイテク株などこれまで売り込まれていた銘柄が主導する形で持ち直し、米国株相場は2営業日続伸となった。まだ黒字化していないハイテク株についてゴールドマンが算出する指数は10%高と、少なくとも2014年以来の上昇率を記録。ハイテク株の比重が大きいナスダック100指数は3%余り上昇し、2日間の上昇率は6.6%と、1年3カ月ぶりの水準に達した。

原題:

Stock Chaos Revved Up by Options Dealers Rushing to Hedge (1)(抜粋)

(c)2022 Bloomberg L.P.

Lu Wang, Cristin Flanagan