水不足問題が引き起こす戦争や対立
水不足は現在に始まった問題ではなく、過去にも深刻な被害をもたらしてきました。国同士の紛争に発展したこともあります。水資源配分の問題(湖や河川の上流地域での過剰取水)、水質汚濁の問題(上流地域での汚染物質排出など)、水の所有権・水資源開発の問題などが主な原因です。
11カ国を流れる国際河川のナイル川では、水力発電や生活用水、灌漑用水などを巡って、流域の国でたびたび対立が起こりました。2021年には、エチオピアがナイル川上流で建設中の巨大ダムで今年の貯水を始めると表明し、これが水不足を懸念する下流のエジプトとスーダンが反発を強めるに至り、国連での討議を経ても対立が解消されていないことが報道されました。
世界ではこれまで、さまざまな地域で水を巡る対立が起こってきました。ドナウ川におけるハンガリーとスロバキアが運河のための水利用に関して対立。漢江では韓国と北朝鮮がダム建設を巡る環境問題などで対立し、インダス川ではインドとパキスタンによる水の所有権問題で対立。こうした例は枚挙に暇なく、解決していない紛争もあります。このように水不足問題は国同士の対立、紛争を引き起こす原因にもなり得るのです。