本稿は、韓国のスタートアップメディア「Startup Recipe(스타트업 레시피)」の発表する週刊ニュースを元に、韓国のスタートアップシーンの動向や資金調達のトレンドを振り返ります。
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8月30日~9月3日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは21件で、資金総額は3,031億ウォン(約288億円)に達した。
主なスタートアップ投資
トレンド分析
初期からヒットの兆しが見えるスタートアップが持つ共通点
「Carrot Market(당근마켓)」 が先月1,739億ウォン(約165億円)を調達し、時価総額は3兆ウォンに達した。時価総額は3年間で70倍に成長、設立から6年ぶりにユニコーンクラブ入りした。ゲーム会社 Npixel(엔픽셀)も先週、ゲーム業界で最短でユニコーンとなった。このように短期間で爆発的に成長するスタートアップがちらほら登場し、初期段階で大ヒットの兆しが見えるスタートアップを獲得しようとするベンチャーキャピタルの動きも活発化している。そのためか、設立から何年も経過していないのに、あるいは、サービス開始前に、高いバリュエーションでベンチャーキャピタルからラブコールを受けるスタートアップが増加している。
AI スタートアップ VoyagerX(보이저엑스)のシリーズ A ラウンドでは、なかなか見られない300億ウォン(約28.5億円)の大規模な資金調達が実施された。VoyagerX は、Naver に買収された検索エンジンの運営会社 1noon(첫눈)、NeoWiz(네오위즈)の「SayClub(세이클럽)」、Naver の自撮りカメラアプリ「B612」など、成功したサービスを開発してきたナム・セドン(남세동)氏が設立した。AI ベースのビデオ編集「VREW」、モバイルスキャナ「vFlat」などをサービスしている。開発力と推進力が強みの会社だ。
AI スタートアップ Upstage(업스테이지)もシリーズ A で316億ウォン(約30億円)を調達した。昨年10月に設立された同社は、前 Naver「CLOVA」の AI リーダーだったキム・ソンフン(김성훈)氏が設立したスタートアップだ。企業を対象に AI ソリューションを提供し、設立から8ヶ月で企業顧客の獲得で88億ウォン(約8.4億円)の売り上げを達成。香港支社を設立し、海外進出も推進中だ。
RXC(알엑스씨)は創業と同時に200億ウォン(約19億円)規模のシード資金を調達し注目を集めた。 RXC は TMON(티몬、Ticket Monster)議長だったユ・ハニク(유한익)氏が設立した新世代コマースプラットフォームだ。ライブコマースとコンテンツマーケティングを中心にキュレーションコマースショッピングアプリをリリースし、複数のブランドとセレブ、インフルエンサーによるの D2C メディアコマースプラットフォームを提供する計画を明らかにした。今年末に最初のサービスが開始される。
AI半導体企業 Rebellions(리벨리온)はプレシリーズ A で145億ウォン(約13.8億円)を調達した。4次産業革命時代のコア技術である AI 半導体設計分野で最も注目されるスタートアップだ。IBM、ARM、インテルなどグローバル半導体企業での勤務を経験したエンジニアを中心としたチームでメンバー構成され、来年に製品発売を計画している。
AIベース 偽造商品監視プラットフォーム「Marqvision(마크비전)」は最近、シードラウンドで60億ウォン(約5.7億円)の調達を完了した。Marqvision は、e コマースプラットフォームで偽造品を除外するソリューションを提供し、IP 保護の分野で事業を拡大している。Marqvision は、Y Combinator の育成プログラムにも選ばれたことがあり、本格的なグローバル市場ターゲットのため、ロサンゼルスにグローバル本社を設けた。
これらのスタートアップを詳しく見てみると、似ている点を発見することができる。まず、グローバル市場をターゲットとするビジネスモデルとグローバルレベルの技術力を保有したという点。そして、創業者がシリアルアントレプレナーとして成功した履歴を持っているか、業界のベテランがチームメンバーとして合流している点などだ。また、グローバルベンチャーキャピタルから投資を誘致したことがあ李、AI 技術基盤企業というのも似ている点だ。
総合的に見ると、創業者の力量と市場成長性、グローバル性、優れた技術力と人材などを備えたスタートアップが、初期段階から投資家の関心を集め成長していることがわかるだろう。
【via StartupRecipe】 @startuprecipe2
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