Google Homeアプリのアップデートの内容
Googleさんのスマートホーム関連管理アプリ「Google Home」に1月8日、アップデート(バージョン2.47.79.5)が配信されました。Pixel 6 Proの物理ボリュームボタンで一括コントロールできたのに アップデートの内容はよくある「バグの修正と機能の改善を行いました」となっていますが、アップデートすると、実は使えなくなる機能があります。私はそれが嫌で、まだアップデートを適用していません(こういうことがあるのでAndroidアプリの更新はマニュアル設定にしています)。 アップデートしちゃうとグループ化したスマートスピーカー&スマートディスプレイ(以下、「スマートくんたち」)のボリュームをまとめてコントロールする機能が使えなくなります。うちでは2台のNest Miniをステレオにした上で、それとリビングのNest HubとキッチンのNest Hub Maxをまとめて1つのグループにして家中で同じ音楽を流しているので、これが使えないと不便です。 なんでこんなことになったかというと……。
Sonosから特許侵害の訴え
Sonosが「Googleはうちの特許を侵害してる!」とITC(米国際貿易委員会)に訴えたのを、ITCが認めたからです(できなくなる機能についてはリンク先の記事にまとめました)。 Googleが何もしないと、特許を侵害しているGoogleの製品(具体的にどれかは明示されていないけれど、少なくともスマートくんたちは該当するはず)が米国に輸入できなくなります(Googleは米国の企業だけど、製品製造は主に中国とかなので「輸入」で、輸入できないとつまり販売もできません)。 で、GoogleはITCに「じゃあちょっと特許侵害しないように機能を変えるから待って」とお願いして、とりあえず行った措置が、このユーザーにとって不便になるアップデートなのです。 ITCというのは裁判所ではないけれど、準司法的機関で、貿易関連の問題で裁判所のようなこともします。記憶に新しいのは2013年、Apple対Samsungの特許訴訟でAppleに対してiPhoneの一部モデルの米国への輸入・販売の差止命令を出しました。この時はオバマ大統領がこの差止命令に拒否権を発動したのでiPhoneは輸入禁止を免れました。 今回も、いきなり輸入禁止になるとはあまり思われていません。ただし、今のバイデン政権はビッグテックにやや批判的なので、拒否権を発動しない可能性もあります。 でも、SonosはITCだけでなくカリフォルニア州中央地区連邦地裁にもGoogleを提訴していて、こちらの裁判でGoogleが勝てば、クロスライセンスにするなどして両者がメンツを保ちつつ輸入禁止を回避できる可能性はあります。 あるいは、Sonosが言っているように、Googleが特許使用料を支払えばいいのです。ただ、Googleは公式声明で「Sonosの根拠のない主張(Sonos' frivolous claims)から身を守る」と、特許侵害は言いがかりだと言ってるので、特許使用料を払うつもりはなさそうです。 ユーザーとしては企業同士の喧嘩のとばっちりを被るのは嫌だなぁというのが本音です。 Androidスマートフォンの物理的なボリュームボタンでグループのスマートくんたちのボリュームを変更できる機能も、無意識に使っていましたが、便利です。これも使えなくなるなんて。 スマートくんたちをグループにしているユーザーはそう多くないかもしれませんが、リモートワークで増えたんじゃないでしょうか。機能変更を説明する公式ブログへのコメントには「これはだめだよ。Googleのスピーカーを購入した理由が完全になくなってしまう」とか「GoogleがSonosに訴えられて、僕たちが代償を払うの? いい弁護士を雇って訴訟に勝つか、Sonosにロイヤルティを払うか、顧客に払い戻しするかすべきだ」など、ユーザーから200件以上のコメントが付いています。 はてさて、Googleさんはどうするでしょうか。「Sonosの根拠のない主張」と言ってますが、Sonosのパトリック・スペンスCEOが全く根拠のない主張をする人とは思えません。平和裏に解決して便利な機能を復活させてほしいものです。※この記事は、Googleの動向をゆるく追いかける連載「Googleさん」のコラムです。
ITmedia NEWS
最終更新:ITmedia NEWS