Metaは米国時間11月2日、Facebookにおける顔認識システムを数週間のうちに停止し、これまでに集めた10億人以上のユーザーの顔認識用テンプレートを削除すると発表した。停止の理由として、顔認識技術に対する懸念と規制の不透明性を挙げている。
提供:Sarah Tew/CNET同社のブログ記事によると、Facebookのデイリーアクティブユーザーのうち、3分の1以上が「顔認識機能」をオンにしているという。
「社会における顔認識技術の利用については多くの懸念があり、規制当局はまだ、その利用を管理する一連の明確な規則を設ける作業を進めている段階にある。不透明な状況が続く中で、顔認識技術の利用を、狭い範囲のユースケースに限定するのが適切だと考えている」と、Metaで人工知能(AI)担当バイスプレジデントを務めるJerome Pesenti氏は記した。
同社は、ユーザーの顔が映った画像を認識する技術を自社製品に組み込んで物議を醸してきたが、今回の動きは同社にとって大きな方向転換となる。Facebookではこれまで、同技術を利用して、他のユーザーが投稿した写真や動画にユーザー自身が写っている場合に、そのことを自動で通知する機能を提供していた。しかし、顔スキャンデータを識別可能なデータに変換する顔認証技術をめぐっては、プライバシーや人権に関する懸念も高まっていた。そのほか、この種の技術の問題点として、有色人種を対象とした場合の認識率が低いことも指摘されている。例えば、アメリカ自由人権協会(ACLU)が、Amazonの開発した技術を利用して実施したある調査では、顔写真が逮捕歴のある別の人物の顔写真と一致すると誤認識された米連邦議員28人のうちの約40%が有色人種だった。
連邦政府による規制がない中で、州や都市の中には、警察や政府機関による顔認証システムの利用禁止を決めたところもある。一方、イリノイ州では、Facebookの写真タグ付け機能における顔認証技術の使用をめぐって同社が訴えられていた集団訴訟で、2月には賠償額6億5000万ドル(約740億円)を支払う和解案が判事によって承認されていた。この訴訟で問題となった機能は、過去にアップロードされた画像をスキャンして得た顔認識データを利用し、新たにアップロードされた画像の人物を特定することにより、タグ付けの提案を生成するというもの。訴訟では、ユーザーの同意なしで顔認識データが作成されていたことが、イリノイ州の生体認証情報プライバシー法(Biometric Information Privacy Act:BIPA)の違反にあたるとされていた。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。