近年、清掃や案内などの機能を持つロボットが活用される場面が増えてきた。しかし、各ロボットごとに管理・運用が必要で、異なるメーカーのロボットは連携できないという大きな課題が残されている。名古屋大学発のベンチャーが、この課題を解決するクラウドプラットフォームを開発している。
清水 政行(OnClouds代表取締役)
自動車メーカーを経て起業
自動車、航空・宇宙に次ぐ「第三の柱」に成長させるべく、ロボット産業の振興に力を入れる愛知県。2014年11月に「あいちロボット産業クラスター推進協議会」を設立し、ロボット社会実装推進事業「あいちロボットトランスフォーメーション」(旧称 あいちロボットショーケース)など、さまざまな活動を行ってきた。
その愛知県を代表する大学、名古屋大学発のロボット関連ベンチャーとして今注目を集めているのが、2017年創業のOnClouds(オン・クラウズ)だ。同社は、複数の自律移動ロボットの制御を同時に行うクラウドプラットフォーム「RaaS(ラース)」を開発している。
創業者の清水政行氏は、2001年に自動車メーカーに入社以来、「ぶつからない車」の研究開発に従事してきた。自動車が障害物を把握し、自動でブレーキをかけるなどして衝突を回避するシステムだ。2016年、「自分が学んできたことを論文という形で残しておきたい」「自分のキャリアのために博士号を取得したい」と思い立ち、名古屋大学大学院に入学。情報学研究科知能システム学専攻の村瀬洋教授のもとで、ぶつからない車の開発にもつながるAIを用いた画像認識の研究を始めた。そこで、心境に変化が起きたという。
「大学院に入ってからAIを用いた研究を進めていく中で、ロボットの活用に興味を持ちました。AIとロボットの技術を使って、世の役に立つような、社会を変えていくようなことをやってみたいと思ったのです」