▶断続的断食(インターミッテント ファスティング)とは何?
▶断続的断食と筋トレの複合技
▶断食中のトレーニング方法と4つの効果的アドバイス
▶結論
“HIIT(高強度インターバルトレーニング)”や“アクティブリカバリー(軽い負荷の有酸素運動を行うことで、血行を促進することで疲労回復を目指す積極的なリカバリー方法)”と並び今やフィットネス/健康の分野での新流行語となりつつあるのが、ここでご紹介する「断続的断食(インターミッテント ファスティング)」です。この言葉、皆さんもうご存じですか?
◇断続的断食(インターミッテント ファスティング= Intermittent Fasting)とは?
これは決まった時間枠内で食事をし、決まった時間枠内で「断食」を行う、時間的なサイクルを重視したダイエット方法のひとつになります。摂取カロリーの制限を戦略的に取り入れることで、驚きの効果を得たという声も多い今注目の画期的な減量法、それが「断続的断食」なのです。
「筋肉量を維持したままの減量」、「糖尿病のリスク低減」、「損傷・疾患・組織への刺激などに対する防御反応である炎症の抑制」などなど、さまざまな効果が期待できると言われている「断続的断食」ですが、それを実践する前にいくつか知っておくべきことがあります。それをここで確認しておきましょう。
そこで「限定的期間のみ食事を制限する」と聞けば、門外漢(専門でない人)である私たちであっても、なんとなく分かったような気分となるメソッドでもあります。ですが実際のところ、具体的に何をすべきか? どのような点に注意すべきか? その点について、正確に理解している人はどれほどいるのでしょうか。
その時間内では、「完全なる断食」が求められているのか? 「夕食」だけは摂ってよいのか? 「断食明けに食べてよい食品」は決められているのか? 「断食中の筋トレについて」は、どのように考えるべきなのか? さまざまな要素について未だよく知られていないため、インターネット上には実に多様なデマや誤った情報などが出回っているのも事実です。特に、「フィットネスを強調しつつ断食を推奨するサイト」などには、十分な注意が必要と言っていいでしょう。
ファスティング(断食)とトレーニングとを組み合わせる際の最大の課題と言えば、「身体を動かしトレーニングする際の“燃料”を、一体どこからどのように確保すればよいのか!?」という点に尽きます。
ここで言う“燃料”とは、食べ物から得ることのできるエネルギーに他ならないのです。中でも特に重要なのは、三大栄養素の中の炭水化物です。食事による摂取量が減ってしまえば、ジムでのエネルギー不足を招いてしまうかもしれません。
断食中の運動と注意点:筋肉を減らさない「断続的断食」
つまりここに、ちょっと難しい課題が生じるわけです。トレーニングのための燃料は、食料から取り込まなければなりません。ですが断食中には、それが許されないのです。果たして、ファスティングとトレーニングは両立し得るものなのでしょうか?
そこで、プロトレーナー兼ダイエットやエクササイズのアプリ「MetPro」の開発者としても知られるアンジェロ・ポリ氏に訊けば、「アプローチさえ間違わなければ、特に問題は生じることがありません」と説明します。
では、正しいアプローチとは、一体どのようなものなのでしょうか?
◇「断続的断食」と戦略的な筋トレの複合技
Getty Images正しい「断続的断食」とは、「1日(もしくは1週間)という枠組みの中で食事をしてもよい時間を制限し、それ以外の時間においては断食を行う」という、時間帯を制限した食事法を指します。
そこで、この方法で脂肪を減らしながら身体を増強するためには、食事/断食の切り替えタイミングで戦略的なエクササイズをスケジューリングする必要が求められるというわけです。
◇断食中のトレーニング方法と4つの効果的アドバイス
【1】断食期間、筋力増強は目指さない
5日間の食事と2日間の断食(5/2プロトコル)、もしくは16時間の断食と8時間の食事(16/8プロトコル=日本では「16時間ダイエット」の名で注目されています)など、「断続的断食」のバリエーションはさまざまです。そして、いずれも正しく実行さえできていれば、「その目標を達成することはそう難しくはない」と多くの経験者が言っています。
その理由とは何でしょう? それは、過食の可能性を抑制できることになります。1日分の摂取カロリーを8時間という限定した時間内に摂ることは、15~16時間かけて摂るよりもそう簡単でなことではないことは想像できるはずです。つまり、「食事の時間に制限を設けることによって、摂取カロリーを自然かつ効果的に抑えることができる」ということが、この「断続的断食」の優位性と言えるでしょう。
しかしながら、筋力増強を目指すのであれば、「断食」が最善の方法とは言えないでしょう。「よほどの初心者であれば話は変わってきますが、これまである程度トレーニングを経験してきた人の場合、カロリー不足の状況で筋肉の増強は困難であると言えるでしょう」と、ポリ氏も注意を促しています。
そこで是が非でも増強しようと、肉体が必要とするカロリーを数百キロカロリーを超えて摂取したとしても、それがすべて筋肉に変わってくれるわけではないのです。とにかく、断食中は筋肉増強のことは考えないようにするのが望ましいでましょう。断食の最大の目的は、なんといっても脂肪を落とすことにほかなりません。繰り返しますが、筋肉を大きくするには継続的な燃料の補給が不可欠となるのです。
【2】断食中であってもトレーニングは必要
しかしながら、「断食期間中の筋力トレーニングは不要」と言っているのではありません。例えその「断食」の主たる目的が「脂肪を落とすこと」であったとしても、トレーニングは不可欠のものとなります。
なぜなら日々摂取したカロリーは、あなたの身体の筋肉の活動によって消費されるからです。つまり、摂取したカロリーは筋肉の活動の燃料となるわけです。そこでエンジンとも言える筋肉が減ってしまえば、そこで消費するカロリー数も減ってしまいます。つまり、代謝率が低くなって太る原因が増すことになるのです。
メカニズム的には、まずは代謝の低下によって体温が下がり、血管が収縮して血流が悪くなります。さらに血液は栄養と酸素などを届ける重要な働きがあるので、その働きを改善させるようと身体を温めようと皮下脂肪を蓄え始めるという傾向にあることが、研究によって報告されています。なので、こうして代謝が低下することで、そこで摂取しながらも消費されないエネルギーが皮下脂肪の蓄積され太っていくというイメージになります。
なので、断食中ということで筋肉が増えるわけではありませんが、ウエイトリフティングなどの筋力トレーニングは欠かさず行うことで、筋肉量が減るという状況は避けるようにしましょう。「通常の食生活のときと同じトレーニングを行うことは、断食中のカロリー不足の状況においても筋肉の維持には役立ちます」と、ポリ氏は説明しています。
筋力の増強としてでなく、あくまでも筋力の維持を目的としているということで、週に2~3回、全身を動かすくらいの気持ちでウエイトトレーニングのスケジュールなどを組み込めむことをおすすめします。ぜひルーティンにしてください。
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Getty Images「ウエイトリフティング、スプリント(短距離走)、クロスフィットなど、高強度のトレーニングを日課のワークアウト(WODs = Workouts Of the Day)としているのであれば、燃料となる炭水化物を欠かすことはできません」、とポリ氏。
Related Story食物繊維豊富!意外にも炭水化物が多い「高炭水化物」な食品30選断食中に(より最悪なのは断食明けに)これらの運動を行えば、パフォーマンスが低下するのは当然です。より速く、強くなるためのトレーニングが、より遅く、より弱くなる方向へと働いてしまいかねません。
では、どうすれば良いのでしょうか?
すると、ポリ氏がこう教えてくれました。「『増えすぎた体重を落としたい』という目的で断食を行っている場合には、大きな問題ではありません。空腹時にだってウエイトを上げれば良いのです。筋肉も少しばかり落ちるかもしれませんが、それよりも脂肪が燃焼しますので、あなたの最大の目的を果たすことはできるでしょう」。
ただし、やせ型で筋肉量のそれほど多くない人の場合には注意が必要とのこと。そんな人は、「食事の時間帯に合わせ、その前にトレーニングを行うことをおすすめします」というのが、ポリ氏の意見です。
「例えば、毎日正午から午後8時までを食事をする時間と定めている場合は、夕方5時頃からジムでトレーニングを行ってください。その後、午後8時までに高タンパクの食事を摂ることで回復を図るよう意識するといいでしょう」。
また、「もしくは食事直後の時間帯(この場合だと午後9時~9時半ごろ)のトレーニングも有効です。ワークアウト前に摂取したタンパク質は、ワークアウト後の筋肉の回復をサポートすることも研究でわかっていることなので」と、それに関する許容範囲を教えてくれました。
【4】有酸素運動の前に断食を
Getty Imagesボディビルダーなど体格を重要視するアスリートの多くが、筋力増強のために行っているトレーニングがあります。それは、朝食前などの空腹時に30分以上の時間を費やしてトレッドミルやフィットネスバイクを行う「ファスト カーディオ」です。
この方法は、食後に有酸素運動を行う方法と比べ、どちらが脂肪燃焼効果に優位であるかについては、まだはっきりとした研究結果は出ていません。ですがポリ氏は、「やって損はないでしょう」と言い、「HIITの真逆のコンセプトであるLISS(Low Intensity Steady State=低負荷の有酸素運動トレーニング)、つまり負荷の軽い運動(最大心拍数の60%程度ぐらい)を30~60分行うぐらいの有酸素運動であるなら、断食状態のほうがより多くの脂肪を燃焼させられる可能性が高いと言えるのです」と続けます。
とにかくLISSの運動を行う際には、HIITの運動を行う際に比べて炭水化物の重要性は低くなります。それでも気になる人に対して、ポリ氏が補足説明してくれました。
「スローな有酸素運動などLISSを行った際には、主に消費されるのは脂肪になります。それはかなり細身のアスリートであっても、持久力を要する運動に備え、パワーの源となる脂肪は身体にある程度蓄えているものなのです。このことは、何時間も食事を摂ることなくレースを続けるウルトラマラソンのランナーを思い浮かべてみるといいでしょう」。
◇結論
「空腹時のウエイトトレーニングに関しては、筋力増強という目的を果たすことは難しですが、空腹時の有酸素運動であれば、その目的である余分な脂肪を燃焼させることに役立つことでしょう」というのが、ポリ氏の結論になります。
つまり、「断続的断食」に最良の成果を求めるのであれば食事可の時間帯かその直後にウエイトトレーニングを行い、断食の時間帯に有酸素運動を行うことがおすすめということです。
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