「受けなくてもいい人が受けている」子宮体がんと乳がんの"過剰検診"問題 判断基準は有効なエビデンスの有無

子宮体がんの検診は有効なエビデンスがない

先日、「会社のがん検診で“子宮体がん検診”がオプションとして付いているのですが、受けたほうがいいのでしょうか?」と質問を受けました。正直、まだそんなオプションが残っているの⁉ という驚きが先に立ちました。

「受けなくてもいい人が受けている」子宮体がんと乳がんの

まず、子宮体がんの「検診」についていうと、そもそも不正性器出血などの症状がない人にとって「有効」、つまり死亡率を下げるというエビデンス(科学的根拠)はありません。検診でがんが見つかった人と、不正出血などの症状がでてから婦人科を受診し、「検査」でがんが見つかった人との間で、治癒率や生存率の差があまりないのです。

強い痛みと感染症のリスク

子宮体がんの検査は子宮内に器具を挿入し、手探りで細胞を採取するため、検査中から相当の痛みをともない、感染症を起こすリスクがあります。精度も低く、子宮体がんではない人が「陽性」あるいは「擬陽性」と判定されたり、逆に子宮体がんにかかっているのに「陰性」と判定されたりすることも珍しくはありません。

すでに自覚症状がある場合は、子宮体がん検査を受けて診断のためのデータをとる意味はありますが、無症状の方に対して、心身を傷つけるリスクがある検査を行うことは、「無意味に患者さんを傷つけるようなことをしない」という医療の大原則に反する行為です。

ではなぜ、無駄な検診がオプションとして付いてくるのでしょうか。

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