マイクロソフトが日本での販売を開始した「Surface Duo 2」
米Microsoft(マイクロソフト)の日本法人である日本マイクロソフトは2022年1月11日、独自のAndroidスマートフォン「Surface Duo 2」の国内出荷を開始した。米国などでは21年10月から販売されているモデルで、その名の通りマイクロソフトが自社開発するハードウエア「Surface」シリーズの1つだが、ほかのSurfaceシリーズとは決定的に違う点がある。それはOS(基本ソフト)にAndroidを搭載したスマホだということだ。【写真はこちら】Microsoftが投入した2画面スマホ「Surface Duo 2」を写真で解説
■パソコンではなくスマホ
これまで日本で販売されてきたSurfaceシリーズは、キーボードを取り外してタブレットのように扱える「2 in 1」スタイルのモデルやノートパソコン型のものなど、いくつかタイプがあった。しかし、いずれもマイクロソフトのWindowsを搭載したパソコンという点では共通だった。Surface DuoシリーズはOSにAndroidを採用しているだけでなく、他のSurfaceシリーズよりコンパクトで、モバイル通信や音声通話も可能だ。パソコンではなく、スマホに分類されるデバイスであることは確かだろう。マイクロソフトはかつてスマホ向けのWindowsも開発していたが、今はパソコン向けに集中している。並行してクラウドサービスに力を入れており、同社の代表的なアプリケーションである「Microsoft Office」も、最近ではサブスクリプション(定額課金)型のクラウドサービス「Microsoft 365」としての提供に主軸を置いている。そうしたことからマイクロソフトは、クラウドサービスを活用してモバイルでも仕事を効率的にこなす環境を整えるべく、Surface Duoシリーズを開発するに至ったと考えられる。前機種の初代「Surface Duo」は国内販売されなかったが、Surface Duo 2でようやく日本でも利用できるようになった。
■2画面で別々のアプリを使うことを重視
「マイクロソフトのアプリを使ってビジネスをこなすツール」と位置付けられていることもあってか、Surface Duo 2はAndroidスマホとしても非常に特徴的なデバイスとなっている。最大のポイントは、2画面のディスプレーを用いたデュアルスクリーンを採用していることだ。2つの画面を搭載したスマホは、これまでもいくつか登場している。だが、それらは折り畳んでもスマホとして使えることを重視し、ディスプレーが外側に来るよう折り畳む、外開き構造だった。これに対してSurface Duo 2は、画面を360度開けるようになっている。外開きスタイルで使うこともできるが、カバンに収納するときなどは画面が内側になるように折り畳んで、ディスプレーを保護することも可能だ。内側にも画面を折り畳めることを考慮すると、Surface Duo 2は大画面ディスプレーを直接折り畳めるサムスン電子の「Galaxy Z Fold3」に近い印象を受ける。ただ、開いて使うときはあくまで2つのディスプレーをつなぎ合わせていることから、どうしても中央に継ぎ目が生じてしまう。動画などを大画面で楽しむといったケースでは、Galaxy Z Fold3と比べ不利だ。ただしSurface Duo 2は、さまざまな作業を効率よくこなすことを重視しており、2つの画面でそれぞれ別のアプリを動かせる。片方の画面でビデオ会議をしながら、もう一方の画面で資料を確認したりメモをとったりすることが、Surface Duo2では簡単にできる。Surface Duo 2のディスプレーはいずれも5.8型。個々の画面の縦横比は13対9と、通常のスマホと比べて横幅が広い。このため縦長の画面では見づらいビジネス文書などを1つの画面に表示しても見やすく、2画面の実力を有効に発揮できるサイズ感といえる。Surface Duo 2には、別売の専用ペン「Surface スリム ペン 2」が用意されており、ペン操作でメモをとることなども可能だ。