新年度を前にデジタル断捨離?
デバイスに家計簿やウェブの検索履歴といった個人データを残しておいたために、他人に見られるなんて事態は避けたいもの。ですが、デバイスやWeb上から自分の活動の痕跡を消し去るのは、思っているよりも面倒な作業です。
あらゆるデバイスやWebアカウントからデータを削除する方法を、米GizmodoのNield記者がまとめてくれました。
スマートフォンとタブレット端末の場合
所有していたスマホやタブレットを売る、姪っ子や甥っ子に譲る、あるいは博物館に寄付する…どういうシナリオにしろ、あなたの所有物でなくなるのなら、データはすべて確実に消しておきたいもの。次の持ち主があなたのTwitterアカウントにログインして、画像を見られるなんて事態は避けたいですからね。
中のデータが暗号化されているなら、スマホから確実に消すのは比較的簡単になります。端末の暗号化は、Android 端末だと2015年のMarshmallow(Android 6.0)以降、iOS端末ではもっと前から標準化されている機能です。端末の解錠にパスコード、顔認証、あるいは指紋認証を使うなら、データは保護されているということ。
暗号化されているということは、スマートフォンやタブレットを出荷時の状態にリセットしたら、誰であろうとデータを復元することは実質的には不可能、モバイル端末からストレージを吸い上げて他のマシンで読み込もうとしても無理ということです。手持ちのAndroid端末の暗号化がオンになっているかどうかは、設定の中の「セキュリティ」>「他のセキュリティ設定」(端末によってメニューは異なるかもしれません)から確認できます。
Android端末を出荷時の設定にリセットするには(もちろん、必要なデータのバックアップをちゃんと取った後ですよ)、設定から「システム」>「詳細設定」>「リセットオプション」>「すべてのデータを消去(出荷時リセット)」をタップします。
iOSユーザーなら、設定を開いて、「一般」>「リセット」>「すべてのコンテンツと設定を消去」を選べば、自分のデータがすべて削除された工場出荷時の状態の端末になります。繰り返しますが、このリセットの手順を行なうなら、まずは写真や音楽、必要なデータはすべてどこか安全な場所にちゃんと保存しておきましょう。
パソコンの場合
ラップトップもスマホと同じようなもので、幸運なことに現在のWindowsとmacOSマシンは、以前よりも完全消去しやすくなっています。Windows 10は、デフォルトではディスクの暗号化を行なっていません(さらなるセキュリティ対策の購入を考えているならVeraCryptがおすすめ)が、初期化すればファイルを確実に削除できます。
つまり、ハードドライブを消去した後は、データ復元プログラムやハードドライブからデータを抜き取ろうとする第三者の手には届かないということ。大事なデータをバックアップした上で、Windowsの設定を開いて「更新とセキュリティ」>「回復」のタブを開きます。このPCを初期状態に戻すの下にある開始するをクリック、すべて削除するを選んで、次のダイアログではファイルを削除してドライブのクリーニングを実行するを選びます。
macOSでのデータ削除とリセットも簡単です。OS X Yosemite 10.10(2014)以降、ディスクはデフォルトでFileVaultというツールによって暗号化されています。FileVaultがきちんとオンになっているかどうかを確認するには、Appleメニューを開き、「システム環境設定」をクリック、そして「セキュリティとプライバシー」>「FileVault」を選びます。もし何らかの理由で無効になっていたら、ここから設定できます。
暗号化データの復旧はほぼ不可能なので、そのストレージを完全に初期化するということは文字通り完全な初期化を意味します。始める前に個人データや重要なファイルは全部、どこかにコピーしておいてください。Appleメニューを開き「再起動」を選んで、Cmd+Rを押しながらMacが起動するのを待ちます。
オプションの中から「ディスクユーティリティ」を選んで、パソコンのOSとファイルを保存しているドライブを選択。上部にある「消去」をクリックして、「Mac OS 拡張(ジャーナリング)」を選び、再び「消去」をクリック。プロセスが終わったら、後はmacOSを再インストールするか、次のユーザーに譲るかです(Cmd+Qを押してからシステム終了で、Macの電源を切りましょう)
Webアカウントの場合
登録されているwebアカウント全部を網羅することはできませんが、メジャーなもののアドバイスならできます。サービスによって、オプションは変わってきます。例えばFacebookの場合、アカウントを消すと決めた後、すべてのデータが消えるまで最長90日間かかります。
Facebookのアカウントを消したいのなら、ウェブで設定ページを開き、「あなたのFacebook情報」>「アカウントと情報を削除」>「アカウントを削除」をクリック(データを二次利用したい場合は、エクスポートのオプションを利用しましょう)Facebook Messengerを使い続けたければ、アカウントの利用解除を選べますが、個人データは削除されず、非表示になるだけです。
Twitterの退会の場合も手順は似ていて簡単です。ブラウザ上で設定ページを開き、「アカウントを削除する」を選択。パスワードを入力し、確定すればOK。その後30日間はアカウントを復旧できますが、その猶予期間を過ぎると永遠に消えてしまいます。保存しておきたいなら、投稿をエクスポートしておきましょう。
さまざまなサードパーティー製のサービスが、Facebookの投稿やTwitterのツイートを消してくれますが、それらの信頼性とプライバシー基準が疑わしいことを考慮すると、おすすめし難いので使う場合は自己責任でどうぞ。
Googleはあなたについてのデータを大量に保持しており、アクティビティ管理ページからそのいくつかあるいは全部の存在を消せますよ。今後のデータ収集を止めるには各項目のトグルスイッチをオフにします。削除するにはマイ アクティビティのリンクから行ないます。「アクティビティを削除する基準」を選べば、保存されたデータを日付で削除できます。バックアップがほしければ、まずはGoogle Takeoutにいきましょう。
Googleアプリや該当サービスをいじる方が簡単な場合もあります。Gmailでは左のすべてのメールをクリックして、左上にあるチェックボックスを選択。~をすべて選択(アカウント内のメッセージの件数が表示されます)を選んでから、削除アイコンを押してゴミ箱送りに。「ゴミ箱」>「ゴミ箱を今すぐ空にする」をクリックしない限り、メールは30日間保存されます。
iTunesの購入、カレンダーの予定、iCloudメール、iCloudフォトライブラリといった、Apple関連のデータをすべて消したい場合は、Appleのこちらのページへ。サインインして、「アカウントを削除」をクリック、注意事項を読み進めて、ページの下部で確定します。
他のアクティビティの場合
個人データは思いもよらない場所を漂っているものです。スマートスピーカーを処分するなら、Alexaに言ったことも全て消してしまいましょう。このデバイスのページから、自分のEchoの左にあるボタンをクリックして、「録音した音声の管理」>「削除」を選択。
クラウドストレージサービスの多くは月額使用料をかけるだけの価値があり、削除したファイルが急に必要になった場合に備えて、しばらくの間、保持しておいてくれるもの。間違えて消してしまった場合なら大助かりですが、誰かが自分のアカウントやパソコンにアクセスできファイルを引き出せてしまう場合には厄介です。ちゃんと消しておきたい機密文書などがあるなら、ちゃんと削除できたか確認しておきましょう。
例えばDropboxの場合、削除したファイルのページに行き、消すファイルを選んだら「完全に削除」をクリック。Google Driveなら、ゴミ箱のページで消去したいファイルを選択して、完全に削除を(ゴミ箱のアイコン)クリックします。OneDriveの場合、ファイルなどを完全に削除するにはごみ箱をクリックして同様の操作を行うという流れ。
webアカウントを消すのであれば、連携しているサードパーティー製アプリを解除するのも良いかも。個人データが他のところに複製される可能性があるからです。Facebookアカウントに連携したアプリの一覧はここ、Googleアカウントに連携したアプリの一覧はここから確認できます。全部が個人データにアクセスできるわけではありませんが、いくつかはアクセスできるかもしれませんからね。
データやアカウントを放っておくこともできますが、時間がかかったとしてもきちんと消去しておきたいもの。情報漏えいを防げるのなら、これだけの労力をかける価値があるってもんです。
Source: VeraCrypt, Facebook(1, 2, 3), Twitter, Google(1, 2), Google Takeout, Apple, Amazon, Dropbox, Google Drive, OneDrive