ダイエットのためには、食事内容や運動のほかにも、影響する生活習慣がある。最新研究で判明しつつある「ヤセ習慣」を2回に分けて見ていこう。今回紹介するのは「ゆっくりかむ」「こまめに立つ」の2つ。いずれも1年間続けると、それぞれ体脂肪1.5kg、2.5kgの差になることが明らかになっている。 早速実践していただきたい。
写真はイメージ=(C)Jaroslav Silhan-123RF1年で体脂肪1.5kgの差 朝と夜で効果異なる?
食べるのが早いと太りやすいというのは、知っている人も多いだろう。
有名なのは、東京工業大学の研究。男性10人を対象にした試験で、ブロック状の栄養補助食品と水200mlを、早く食べたときとゆっくり食べたときのDIT(食事誘発性熱産生:食後の消費エネルギー)を比較した。すると、ゆっくり食べたときは、食後90分までDITが高い状態が続いた(Obesity; 22,E62-E69, 2014)。この差は1回の食事で見ると小さいが、1年間積み重ねれば、体脂肪1.5kg分を消費する計算になるという。
同じ東京工業大学の試験で、女性84人を対象に、サケおにぎり1個(174kcal)を普段と同じように食べたときにかかった時間や咀嚼(そしゃく)回数を記録し、体脂肪率との相関を調べた。結果、体脂肪率の低い人ほど、ゆっくり食べる傾向があった。(J Nutr Sci Vitaminol;63,174-179,2017)
咀嚼の研究はますます進んでいる。このほど発表された研究結果では、朝、咀嚼回数を増やしたときの方が夜より、血糖調節ホルモンであるインスリンの初期分泌を促すことがわかったという。この試験では、朝と夜で異なる咀嚼回数で、血糖値やインスリンの値などを調べた。
インスリンの初期分泌が悪い人は、糖尿病に進展しやすいことがわかっている。朝ほどしっかりかむことが必要かもしれない。
咀嚼の効果を朝と夜で比較した結果健康な成人男性9人が対象。朝と夜、白米200gを1口当たり10回咀嚼、40回咀嚼した場合のインスリンインデックスを示したグラフ。朝の40回は、朝10回、夜40回に比べ明らかに高い値になった。(データ:The Tohoku Journal of Experimental Medicine;249,3,2019)※インスリンインデックス