脂肪分の真実-アボカドのカロリーはいったいどれくらいなのか

このフルーツが、私たちの食事のしかたを永遠に変えてしまった。ブランチにはエッグ乗せトーストと。ランチにはチキンサンドイッチと。ディナーではチリ・コン・カルネと。スーパーマーケットに旋風を巻き起こしてからというもの、今や食事タイムのほとんどが、アボカドなしでは"裸"も同然だ。

そのため、アボカドの売り上げが上昇を続けているのも不思議はない。世界アボカド協会(World Avocado Organizationというのが本当に存在する)によると、昨年、イギリスだけでも売り上げが26%伸び、ヨーロッパ全体で6億個以上のアボカドが消費されたという。

アボカド生産者がこの需要に追いつくことができ、2016年に起こった"アボカドアポカリプス"(アボカドの終末)が繰り返されないようにするために、クィーンズランド大学の研究者たちはステムセルサイエンス(幹細胞科学)を用いてアボカドの木の成長を早めようとしているくらいだ。つまるところ、私たちはオプラ(ウィンフリー)じゃないから、自宅にプライベートなアボカド園を持つことなどできないのだ。

でも、なぜこれほどまでにアボカド愛が高まっているのだろう? そう喧伝されているだけなのか? カロリーに見合うだけの栄養価は本当にあるのか?

公認栄養士のクレア・ベイスリーに、アボカドや、それを使った食品にはどのくらいカロリーがあるのか、そして、これほどたくさん食べるべきなのか、聞いてみた。

アボカドのカロリーは?

言い換えれば、一度に1個全部食べてしまって本当に大丈夫なのだろうか?

「ハスアボカド(Hass Avocado)は191カロリーあり、100gあたりの脂肪分は19.7g。一方、フエルテ種のアボカド(Fuerte Avocado)は198カロリーで脂肪分は19.3gです。皮を剥いて種をとったLサイズのアボカド1個は約195gありますから、1度に食べるのはこの半分でしょう。Mサイズなら145gです」と、ベイスリー。

つまり、主要栄養素を計算してヘルシーな体になろうとしているなら、一度に食べるのは半分というのが賢いということ。

ちなみに、アボカドの果肉にレモン汁かオリーブオイルを塗って、あるいは残った半分を刻んだレッドオニオンとともに容器に入れて、保存すると、果肉が早く茶色くなるのを防いでくれる。

では、アボカドを使った食品のカロリーはどうだろう?

平均の1人分の量とレシピから計算すると。次のようになる。

ガカモレ(テーブルスプーン2杯)=97カロリー※ワカモレとも。アボカド、トマト、玉ねぎ、ライム果汁、コリアンダー、塩、チリセラーノを合わせたメキシコ料理のサルサ)アボカドスムージー(グラス1杯)=371カロリーフラボカードアイスクリーム(100g)=166カロリーアボトースト(アボカド乗せトースト)(1枚)=387カロリー

脂肪分の真実-アボカドのカロリーはいったいどれくらいなのか

アボカドの栄養価とは?

「アボカドに含まれる脂肪の多くは不飽和脂肪です」と、ベイスリー。「飽和脂肪を不飽和脂肪に変えた食生活を送ると心臓の健康にいいと言われていますから、チーズスプレッドをアボカドに変えて、健康的な脂肪を食べるようにしましょう」

「100gあたり3.2mg含まれています(一日の必要量は約12mg)。ビタミンEは細胞を"酸化ストレス"から護る助けをする抗酸化物質として機能します。私たちは皆、メタボリズムの一部として、エクササイズしている間にも、DNAにダメージを与える反応性化合物であるフリーラジカルを生成しています。ビタミンEは、そうしたことに対処するため常に備えておくべき素晴らしい抗酸化物質なのです」

「アボカドに含まれるビタミンB6は、疲労や倦怠感を軽減する役にたったり、エネルギー放出やタンパク質や炭水化物の代謝など多くの代謝反応に加わったり、正常な免疫機能をサポートしたりと、体内で多くの機能を果たしています。また、ビタミンB6は、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンの活動をサポートする役目も果たしています。一日あたりのビタミンB6必要量1.4gのうち、アボカド100gには0.38が含まれていることを覚えておいてください」

「アボカドには有益な量の繊維質も含まれていますから、繊維質を十分に摂取している人はとても少ないので、役に立ちます。これがお通じを"規則的"に保ち、ひどい空腹を防ぐ役にたちます」。加えて、アボカドに含まれる繊維質の25%は水溶性なので、腸に"良い"バクテリアを増やすのにも優れている。

ペンシルベニア州立大学の研究によると、種に含まれる抗炎症成分は心臓血管病やガンの治療に役立つかもしれないという。

アボカドがそれほど体にいいなら、なぜ脂肪分を気にしなければならないの?

アボカドは地球上でもっとも脂肪分の多い植物性食物のひとつ。カロリーの77%は脂肪分によるものだ。

残念ながら、脂肪分を摂りすぎると心臓病やガン、糖尿病、肥満につながる。

しかし、アボカドに含まれる脂肪分は単なる脂肪分ではない。いい脂肪分なのだ。

脂肪には4つのタイプがある。飽和、不飽和、トランス、ポリ不飽和の4種類だ。ブリティッシュ・ハート・ファウンデーション(British Heart Foundation)によると、不飽和脂肪とポリ不飽和脂肪は有益な脂肪で、健康なコレステロール値の維持を助け、体に必須脂肪酸を供給する。そうした脂肪はアボカドやオリーブオイル、ナッツ、シード類に含まれている。

一方、その他の飽和脂肪とトランス脂肪はファストフードやハードタイプのチーズ、バター、ビスケット、ケーキなどに含まれ、上記した健康問題に関係している。

「平均的なアボカドには19.5gの脂肪が含まれ、そのうち、不飽和脂肪は12.1 g、飽和脂肪は4.1g、ポリ不飽和脂肪は 2.2gです」と、ベイスリー。「信号機に例えると、アボカドは総脂肪量からすれば赤、飽和脂肪では黄色と言えます」

何を信じればいいの…?

「アボカドにはよりヘルシーな脂肪が含まれています(上記の通り)。とはいえ、高脂肪食品であることに変わりはなく、適切な量を、多様でバランスのとれた食生活の一部として食べるのがベストだと認識することが大事です」と、ベイスリー。

では、アボカドを食べるためのベストな方法は?

「私のお気に入りの食べ方は、アボカドを潰して塩少々とチリを加えたものをシード入りのパンかサワードウに乗せ、ポーチドエッグ2個かスクランブルエッグと、加熱したホウレン草を添えたもののです」と、ベイスリー。

「そうすれば、炭水化物とタンパク質、脂肪、繊維、ビタミンが揃って、一日に5種類の野菜や果物を食べようという運動のうちの2つをカバーしていますから、非常にバランスのとれた食事になるのです」

Translation: Mitsuko Kanno From Harper's BAZAAR UK