経済・IT スマホに必須のこの機能は、いつ誰が最初に作ったの? 偉大なる11の技術を振り返る

Apple(アップル)やGoogle(グーグル)だけじゃない。

2007年、黒いタートルネック姿のスティーブ・ジョブズがiPhoneを世に出してから早15年。アップルは初期のiPhoneを通じて、タッチスクリーンやApp Storeなど、モバイルコンピューティングの屋台骨となるさまざまな機能を一般に普及させました。

その後はアップルだけじゃなく、いろんな会社や開発者がいろんなアイディアを形にすることで、2022年現在のスマホにつながってきました。おかげで今われわれは、スマホをメディア視聴やコンテンツ作成、コミュニケーションなどなどいろんな形で使えていて、それぞれの使い心地は日々さらに向上しています。ここでiPhone以来のスマホにおける革新を振り返って、難しい課題にも負けずにそれらを実現した企業や開発者の功績を称えたいです。

ここでは11の技術をピックアップしてみましたが、足りないことがあったら指摘してくださいね。

1. デュアル以上のカメラレンズ

デュアルカメラの電話はスマホ時代より前に存在してましたが、最初期のデュアルカメラの目的は3D撮影でした。写真の質を高めるために第2のレンズが載ったのは、HTC M8とLG G5が最初です。M8とG5の違いは、レンズで何をするか?でした。M8は撮影用のカメラはひとつしかなく、第2のレンズは深度センサーとして写真の細かい調整のために機能してました。G5はもっとわかりやすく、スタンダードカメラを1600万画素としつつ、セカンダリのレンズは超広角の800万画素とし、視野角を135度に広げることで、雄大な風景や大都市のビル群、または近くの被写体を撮るときも、写真をつなぎあわせなくても1画面にたくさんのものを収めることを可能にしました。

Huawei(ファーウェイ)もその後Leica(ライカ)と組んでP9を打ち出しましたが、それは背面のデュアルレンズのひとつでモノクロのディテールを撮るものでした。モノクロ写真を普通に撮ってもいいんですが、モノクロレンズで捉えた情報を標準のレンズの情報と統合することで、今までにできなかった魔法を見せてくれました。その後アップルがiPhone 7 Plusで、1200万画素カメラ+1200万画素・光学2倍ズームレンズのコンビを打ち出します。そして現在のフラッグシップスマホでは、もはやズームを取るか、超広角を取るかなんて悩む必要はありません。Galaxy S22 Ultraも、Pixel 6 Proも、iPhone 13 Pro Maxも、標準と超広角、望遠レンズがみんな付いてきます。

2. AMOLEDディスプレイ

スマホにAMOLED(アクティブマトリクス式有機EL)ディスプレイを最初に載せたのは、2008年生まれのNokia(ノキア)のハイエンド端末N85で、その画面は2.6インチのMatrix OLEDでした。それ以降AMOLEDはあらゆるメジャーなブランドのフラッグシップ端末に載り、iPhoneでもiPhone Xから搭載されました。そこには採用されるのに十分な理由があります。色鮮やかで、完璧な黒と無限のコントラスト比を作り出し、しかも電力消費は少なくて済むのです。

新しいディスプレイ技術は、最近だとminiLEDやmicroLED、またはニュータイプのOLEDなどが雨後のタケノコのように出てきてますが、それでも現状フラッグシップのモバイル機器で鉄板のチョイスは、AMOLEDのままです。

3. 高速充電

ワイヤレス充電は時間があるときは良いですが、日中ガンガン使った後にバッテリー補給するには不十分です。そんなときの救世主が高速充電機能ですね。最初に搭載したのがどのスマホだったかは議論の余地がありますが、間違いなくベストなのはOnePlus(ワンプラス)です。

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ワンプラスの「ワープチャージ」では、15分で1%から58%、そして40分で100%に、まさにワープするように充電できます。ワンプラス未体験、または同等の高速充電したことない人、これはほんとにゲームチェンジャーですよ。

4. ワイヤレス充電

ワイヤレス充電に関しては、(Microsoftに買われる前の)ノキアに感謝しなきゃいけません。最初のワイヤレス充電スマホはNokia Lumia 920、そのとき採用してたQi規格は、今でもSamsung(サムスン)やアップル、グーグル、ワンプラスが使ってます。ワイヤレス充電を使えば、ケーブルの先端を探して穴に挿す手間がなく、ポンと充電パッドに置くだけでOKです。

ワイヤレス充電にも欠点はあります。たとえば本当に完全に「ワイヤレス」なわけじゃなく、充電パッドはケーブルで電源につないでなきゃいけないとか、充電効率が低いとか。あとはQi規格での伝導性を高めるためにスマホの背面がガラスになった、といった副作用もあります。その点ノキアはポリカーボネートを使っていたので、そういう意味でも功績はさらに大きくなります。

5. 指紋センサーと顔認証

最初に指紋スキャナを載せたスマホはMotorola(モトローラ)Atrix、それはアップルのiPhone 5sでTouch IDが導入される2年前でした。というかAtrixはほんとに型破りな端末でした。本体上部の小さな長方形の指紋スキャナもさることながら、目玉はAtrixを挿し込むことで小型ラップトップ化できるLapdockというアクセサリです。LapdockにAtrixを挿し込むとシェルがLinuxを動かし、そこでWebを見たり、ネットブック的タスクをこなしたり、Atrixの画面も11.6インチディスプレイの左側にミラーリングできたりしたんです。

Atrixの指紋認証により、パスコードやスワイプパターンのない世界がわれわれに一歩近づきました。ほぼ一瞬でスマホにログインできるようになるとともに、セキュリティの新たなレイヤーを加えてもくれました。指紋センサーはフラッグシップスマホで標準となり、その後顔認証により補完、または置き換えられました。顔認証技術が登場したのは2011年のAndroid 4でしたが、最初に一般化(と、ちゃんと実装)したのは2017年のiPhone Xでした。今は多くのフラッグシップスマホに顔と指紋の両方の認証があり、指紋センサーは画面の下に埋め込まれるようになってます。

6. バーチャルアシスタント

みんなアップルのSiriにはいろいろ思うところあるかもしれませんが、やっぱりその影響力は大きかったです。スマホだけじゃなく、その後のガジェット全体を根本から変えたといってもいいくらいです。最初は2010年2月にiOSアプリとしてリリースされ、その後iPhone 4Sに統合される形で多くの人の目に触れることになりました。Siriはスマホを手にすることなく声だけでタスクを完了し情報を入手させてくれる、初めての音声アシスタントでした。音声アシスタントの流れには他のテック企業も追随し、うまくいったところ(グーグル)も、そうじゃないところ(サムスンやマイクロソフト)もあります。

現在、スマートアシスタントはスマートホームデバイスを含め、あらゆるガジェットに入り込んでます。サムスンは話しかけられる冷蔵庫なんてのを作ってて、そこまで?とも思いますが、CarPlayやAndroid Autoでデジタルアシスタントを使えるのは、よそ見運転防止ってことで多くの人が支持できることでしょう。

7. 3G/4G LTE/5G

5Gはまだまだイマイチですが、それでもモバイルネットワークの進化がなければ、現在のスマホはありえません。初代iPhoneは2GネットワークでSMS、MMS、(すごく)遅いデータ通信をこなしてましたが、iPhone 3Gになることで、中身は同じでもずっと高速になりました。Webブラウジングとかビデオチャット、動画視聴といった多様な使い方に十分な速度を実現した初めての通信規格が3Gでした。でも、スマホでよりリッチなマルチメディアを体験できるようになったのは2010年、4G LTEの登場からでした。HD動画やゲーム、ストリーミングなどなどの大きなデータを扱うタスクは、今もみんなが使っている4Gネットワークで可能になったんです。

今われわれは、ごくゆっくりながらも5Gに移行しつつあり、先は長そうですがだいぶ進歩はしました。5Gの中にもいろんなフレーバーがありますが、どっちにしても4Gよりずっと速く、レイテンシは低く、容量・帯域は大きくなります。5Gはホームインターネットの代替にもなりえて、ハイレゾな動画ストリーミング、VR・ARでの利用、クラウドゲーミングに貢献する…はずです。

8. ポートレートモード

本当に最初にやったのは別のところなんだけど、世の中的にはアップルの功績だと思われてる…ってありがちですが、一眼レフライクなボケを簡単に作れるポートレートモードもそのひとつです。でも、ポートレートモードに関しては正当な理由があります。グーグルの「レンズブラー」機能は初期のPixelスマホで使えたポートレートモードの走りでしたが、最近のものと違ってレンズは1枚で、アルゴリズムだけで背景をぼかすやり方でした。一応問題なく使えはしましたが、iPhone 7 Plusで登場したポートレートモードほど安心して使えませんでした。

アップルのポートレートモードは最初から2枚のレンズを使い、前景と背景をうまく切り分けていました。一眼レフっぽい仕上がりをうまく再現したこの機能はすぐさまヒットし、特に目を惹く写真命なInstagramユーザーには大歓迎されました。

9. コンピュテーショナル・フォトグラフィー(またはナイトモード)

スマホカメラはデジカメを急速に置き換えていきましたが、どんなに優秀なものでも、夜間や屋内の暗めの環境ではうまく撮れないのが常でした。が、ファーウェイ Mate 20 Proの「Night Mode」とグーグル Pixel 3の「Night Sight」ですべてが変わりました。今は手を固定させてほんの少し時間をかければ、スマホでもくっきりと、しかもノイズのない画像が暗い環境で撮れます。夜の写真が、まるでプロ向け照明でも組んだみたいにきれいに撮れるんです。今まで影で見えなくなっていたディテールが、いきなりはっきり見えるようになりました。

グーグルはNight Sightによって、ソフトウェアファーストのアプローチが、ハードウェアに依存してきたカメラ機能に革命を起こせることを実証しました。アップルやサムスンといった競合がそれぞれのナイトモードを打ち出すまでに、時間はかかりませんでした。

10. さよならベゼル、ようこそ巨大画面

2014年、Sharp(シャープ)のAquos Crystalは、「ベゼルレス」ディスプレイを載せた最初のスマホでした。でも、「ベゼルレス」の意味が今とはちょっと違っていて、Aquos Crystalのベゼルは画面の上・右・左にはないんですが、下側にはしっかり残り、そこに前面カメラとマイクが収まってました。その後、ほどなくしてサムスン Galaxy Note Edgeが登場しましたが、それも下ベゼル(電源ボタン用)と上ベゼル(カメラ用)がありました。

それ以降スマホ各社はホームボタンを廃止し、画面を上下左右全方向に引き伸ばし、ほぼベゼルレスを実現してきました。前面カメラはノッチの中か画面のパンチホールに収まり、指紋センサーは画面の下に入るか、タッチジェスチャーがボタンを置き換えるかしています。

11. 折りたためる画面

折りたたみスマホは全然標準じゃないじゃん!ってお叱りの声が聞こえてきそうですが、でも、ワクワクするテクノロジーではあります。最近の折りたたみスマホは今までよりだいぶしっかりして、価格も下がってきました。折りたたみスマホを語る上で初代Galaxy Foldははずせませんが、あれはほんとに華奢で、レビュー機はローンチ前にリコールされ、新バージョンが出せるまで発売自体が延期されたくらいでした。

それでもサムスンはちゃんと新バージョンを出してきました。第2作も無骨で値段も高すぎましたが、初代の耐久性問題はだいたい解決し、いつかはちゃんと機能するんじゃないか…と希望を与えてくれました。そしてついに最新作のGalaxy Z Fold 3で、折りたたみはスマホ界の次なる潮流じゃないかと思えるようになってきたんです。


以上、11の技術を見てきましたが、もし「これがない、やり直し!」って思うものがありましたら、遠慮なく教えてください!