健康診断で「脂質異常」と言われたら、どうすべきなのか?

健康診断で「脂質」について指摘されても、具体的にどんなリスクがあるのか、何をすべきなのか分からないという方は多いでしょう。脂質異常症を放置すると、重篤な病に陥る危険性があります。脂質の意味や脂質異常症の診断基準、生活改善の方法について解説します。

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目次

  1. 「脂質」と「脂質異常症」について知る
    1. 健康診断の項目にある「脂質」とは何か?
    2. 「脂質異常症」とはどんな病気なのか?
  2. 脂質異常症を放置するリスク
    1. 脂質異常症は動脈硬化を促進する
    2. 動脈硬化は心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす
  3. 脂質の基準値と基準値から外れてしまう原因
    1. 脂質異常症の診断基準
    2. 脂質が基準値から外れてしまう原因
  4. 脂質異常症を改善する方法
    1. LDLコレステロールが高い人
    2. HDLコレステロールが低い人
    3. 中性脂肪が高い人
  5. 脂質異常症と目・歯・血液の関連性
  6. 目・歯・血液にフォーカスした健康診断
    1. 頭・頸部MRI+MRA
    2. 動脈硬化検査(ABI+PWV測定)
    3. 動脈硬化検査(頸動脈超音波)
    4. 梗塞リスク検査(LOXインデックス)
  7. 専門性の高い健康診断の受診が健康増進の第一歩

「脂質」と「脂質異常症」について知る

(画像=takasu/stock.adobe.com)

まず、脂質の意味と、脂質異常症の定義を見ていきましょう。

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健康診断の項目にある「脂質」とは何か?

脂質は、たんぱく質・炭水化物とともに三大栄養素と呼ばれ、身体のエネルギー源となる大切な物質です。

健康診断では、血液中の脂質を検査します。血液中の脂質は血中脂質と呼ばれ、主にコレステロールと中性脂肪があります。コレステロールや中性脂肪は、エネルギーを蓄える、体温を保持するなど、身体の機能を維持する上で重要な役割を担っています。

「脂質異常症」とはどんな病気なのか?

コレステロールも中性脂肪も、通常は血中で一定の濃度に保たれます。しかし、摂取する脂質の量が多すぎたり、脂質がうまく処理されなかったりして、血中脂質が基準値から外れることがあります。このように、血液中の脂質が基準値から外れた状態を、脂質異常症といいます。

脂質異常症を放置するリスク

血中脂質が基準値から外れていたとしても、特に自覚症状がないという方はたくさんいます。そのため、健康診断で脂質異常を指摘されても、あまり深刻に捉えず放置してしまう方がいます。しかし脂質異常症は、放置すると突然死につながる恐れもある恐ろしい病です。

続いて、脂質異常症を放置した場合に考えられるリスクを見ていきましょう。

脂質異常症は動脈硬化を促進する

脂質異常症は、動脈硬化を促進します。動脈硬化とは、血管が詰まりやすくなった状態のことです。

脂質の一つであるコレステロールには、善玉コレステロールと呼ばれるHDLコレステロールと、悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールがあります。通常、LDLコレステロールが肝臓のコレステロールを全身に運び、HDL-コレステロールが余分なコレステロールを回収します。

しかし、LDLコレステロールが増え、HDLコレステロールが減ると、増えすぎたコレステロールが動脈の壁の内側にどんどん蓄積します。蓄積したコレステロールはドロドロのプラークとなり、血管の通り道が狭くなって詰まりやすくなります。これが動脈硬化のメカニズムです。

動脈硬化は心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす

動脈は、心臓から送り出される血液を全身に運ぶ血管であり、酸素や栄養素を運ぶ役割を担っています。動脈硬化が進み、血栓ができて血管が詰まると、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こします。

突然死の中で最も多いのが急性心臓死といわれています。突然死とは、瞬間死もしくは24時間以内に死亡することを指します。急性心臓死の代表例ともいえるのが、心臓に血液を送る冠動脈が詰まることで起きる心筋梗塞です。

心筋梗塞を含む虚血性心疾患は、仕事中や歩行中、リラックスしている時、眠っている時など、あらゆるタイミングで起こります。強い胸の痛みを感じ、冷や汗や嘔吐などの症状が表れ、意識を失ったり泡を吹いたりします。すぐに救急搬送されても、命が助からないことも少なくありません。

脳の血管の動脈硬化が進み、血管が詰まると、脳梗塞になります。血管が詰まると酸素や栄養素が運ばれなくなるため、その部分の脳細胞が死滅します。残念ながら、死滅した脳細胞は二度と回復しません。そのため、身体の半分が麻痺してしまったり、言葉を理解できなくなったり、記憶障害が生じたりします。

深刻な後遺症が残ると、これまで通りに仕事を継続することが難しくなり、介護が必要になるケースもあります。

2020年の日本人の死因トップ3(老衰を除く)は、、がん・心疾患・脳血管疾患でした。心筋梗塞や脳梗塞は、死に至ることも多い恐ろしい病です。脂質異常が心筋梗塞や脳梗塞のリスクを上昇させることを知れば、生活改善の重要性も認識できるでしょう。

健康診断で「脂質異常」と言われたら、どうすべきなのか?

脂質の基準値と基準値から外れてしまう原因

脂質異常を放置すると、動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが上昇します。脂質異常を放置せず、脂質異常の原因を知って数値の改善を図りましょう。

脂質異常症の診断基準

脂質異常症の診断基準は次の通りです。

▽脂質異常症診断基準(空腹時採血*)

LDLコレステロール140mg/dL以上高LDLコレステロール血症
120~139mg/dL境界域高LDLコレステロール血症
HDLコレステロール40 mg/dL未満低HDLコレステロール血症
トリグリセライド(中性脂肪)150 mg/dL以上高トリグリセライド血症
Non-HDLコレステロール170mg/dL以上高non-HDLコレステロール血症
150~169mg/dL境界域高non-HDLコレステロール血症

* 10時間以上の絶食を「空腹時」とする。ただし水やお茶などカロリーのない水分の摂取は可とする。** スクリーニングで境界域高LDL-C血症、境界域高non-HDL-C血症を示した場合は、高リスク病態がないか検討し、治療の必要性を考慮する。出典:厚生労働省e-ヘルスネット

※基準に当てはまる場合も、すぐに治療が必要とは限りません。

脂質が基準値から外れてしまう原因

悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールの値が高くなる原因として、飽和脂肪酸のとりすぎがあるといわれています。飽和脂肪酸が多く含まれるのは、次のような食材です。

・肉の脂身(赤身ではなく白い部分。バラ肉やひき肉、鶏肉の皮も含む)・バター・生クリーム

また、飽和脂肪酸はインスタントラーメンなどの加工食品にも多く含まれます。

善玉コレステロールと呼ばれるHDLコレステロールの値が低くなる原因としては、肥満や喫煙、運動不足があるといわれています。

中性脂肪の値が高くなる原因としては、甘いもの・油っぽいものの食べすぎがあります。また、過度な飲酒も中性脂肪を増やします。

脂質異常症を改善する方法

脂質異常症の診断基準を見ると、どの値にアプローチすべきかが見えてきます。続いては、脂質異常症を改善する具体的な方法について解説します。

LDLコレステロールが高い人

LDLコレステロールの値が高いなら、脂身を多く含む肉類を減らし、赤身(ヒレやもも肉)を中心にしましょう。バターや生クリームもできるだけ控えてください。インスタントラーメンやベーコン、ソーセージなど、加工食品を減らすことも大切です。

代わりに、不飽和脂肪酸を含む次のような食材を増やすと良いでしょう。

・さば、さんま、本まぐろ、うなぎなど・サラダ油、オリーブオイル、えごま油など

また、ビタミンが多く含まれる野菜を積極的に食べることも大切です。

HDLコレステロールが低い人

HDLコレステロールの値が低いなら、禁煙やダイエット、運動習慣が効果的な対策になります。

日頃からエスカレーターを使わずに階段を使う、仕事帰りは自宅から最寄り駅の一駅手前で降りて歩くなど、無理のない範囲で運動不足の解消に取り組んでみてください。まずは1日30分が目安です。いきなり激しい運動をせず、ウォーキングなど軽い運動からスタートすることも大切です。

中性脂肪が高い人

中性脂肪の値が高いなら、お酒やジュースを減らし、お菓子や揚げ物を食べる量を控えましょう。適切な飲酒量の目安は次の通りです。週に1~2日は休肝日を設けることも大切です。

・日本酒1合・ビール大瓶1本・ワイン1杯

また、次のような、糖分を多く含む果物も食べすぎないよう注意してください。

・りんご・梨・オレンジ・ぶどう・イチゴ

青魚には中性脂肪の値を下げる働きがあるため、積極的に食べましょう。また、海藻やきのこ、野菜など食物繊維を多く含むものを食べると、糖質や脂質の吸収を抑えることができます。

ウォーキングなど軽い運動習慣を取り入れるのもいいでしょう。

脂質異常症と目・歯・血液の関連性

脂質異常症は、自覚症状がないまま数値が悪化していくことの多い病気です。生活改善に取り組もうとしても、自覚症状がないと、継続できず挫折してしまう方も多いでしょう。

健康診断で脂質異常を指摘されたなら、より精密な健康診断を受け、脂質異常症によって身体にどんな影響があるかを知ることが大切です。

脂質異常症をはじめとした自覚症状のない病の兆候は、目・歯・血液に表れるといわれています。

脂質異常症では、コレステロールの沈着によって、角膜輪と呼ばれる白い輪が黒目のふちに表れることがあります。また、歯周病は全身の病と深く関連することがわかっており、脂質代謝異常と歯周病の関連を指摘する研究もあります。

目・歯・血液の精密検査によって、脂質異常症のリスクを正しく判断できるでしょう。

目・歯・血液にフォーカスした健康診断

KRD nihombashiでは、目・歯・血液の精密な検査を行い、あらゆる角度から現在、そして将来の病気のリスクを診断します。特に血液検査では、70項目を超える検査を実施するため、会社の健康診断では気づけない病気のリスクや兆候にも気づける可能性があります。

また、気になる項目に応じて、次のようなオプション検査を組み合わせることも可能です。

頭・頸部MRI+MRA

磁石の力を利用して頭部の断面と血管を撮影し、脳梗塞、脳腫瘍、脳動脈瘤などを調べます。

動脈硬化検査(ABI+PWV測定)

上腕部と足首の血圧と脈派を同時に測定し、ABI(血管の硬さ)やPWV(血液の流速)から動脈硬化の程度や血管年齢を調べます。

動脈硬化検査(頸動脈超音波)

超音波を用いて、動脈硬化の程度や脳梗塞の原因となるプラークの有無を調べます。

梗塞リスク検査(LOXインデックス)

脳梗塞・心筋梗塞発症リスクを評価する最新の指標です。血管壁の硬化状況・硬化リスクを把握することが可能です。

健康診断で脂質異常を指摘されただけでは、心筋梗塞や脳梗塞のリスクまで知ることはできません。自覚症状がないと、忙しさを理由に、つい自分の健康のことは後回しにしてしまいがちです。しかし、自覚症状がないまま、ある日突然帰らぬ人となってしまうこともあります。万一の事態が発生してから後悔することがないよう、早めに手を打つことが何より大切です。

専門性の高い健康診断の受診が健康増進の第一歩

専門性の高い検査を受け、将来の病気のリスクを予見できれば、生活改善に向けて真剣に動き出すこともできます。脂質異常は、精密な健康診断を受けるきっかけの一つです。脂質異常を放置せず、高度な健康診断によって自分自身の身体と向き合い、健康増進に向けて動き始めましょう。

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