GoogleとAmazon Web Services(AWS)が、世界中で増加している環境危機に対する各国の対応を支援することにつながる可能性のある、機械学習モデルなどの取り組みについて明らかにしている。
提供:Getty Images国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)が現地時間10月末~11月12日にかけて開催された。そうした中、両社は洪水や森林火災などの気候変動に伴う災害のリスクを軽減するための取り組みを紹介している。
洪水
Googleは、機械学習モデルを用いた洪水予報システムについての査読なしの論文を公開している。このシステムは、観測データのある大規模河川の氾濫に焦点を当てた「正確なリアルタイム洪水警報」を、関係機関や一般市民に提供することができるという。この論文は、Google Researchとイスラエルのエルサレムヘブライ大学の研究者によって書かれたものだ。
Googleが2018年に始めた洪水予報のこの取り組みでは、洪水の影響を受ける地域に住む人々のスマートフォンにアラートを送信している。これはGoogleのクライシスレスポンスプログラムの一環で、現場で働く人たちや救急隊員と協力して技術開発を進めている。
このプログラムの対象地域は、2018年からの3年間でインドとバングラディシュの大部分に拡大され、2億2000万人が住む地域がカバーされた。また2021年のモンスーンの季節までには、対象地域がさらに拡大され、3億6000万人が暮らす地域がカバーされるようになった。
Googleのエンジニアリングおよび危機対応担当バイスプレジデントのYossi Matias氏は、ブログ記事の中で、「洪水予報技術が向上したことで、1億1500万件以上のアラートが送信された。これは、以前送信されたアラートの3倍の量だ」と述べている。
Googleのアラートでは、河川の水位が何センチメートル上昇したかが通知されるが、伝えられるのはそれだけではない。「Googleマップ」のレイヤーで、洪水の範囲と深さを表示する「浸水マップ」を提供できるようになっている。同社の新たな浸水モデルや、あらゆるモデル全般の進化によって、大幅にスケールアップし、より多くの人々にこうした情報を提供できるようになっているという。
Googleの研究者らは、「これまでにも有望な結果を示した研究はあったが、機械学習を中核的なコンポーネントとして使用し、適切なタイミングで正確な洪水警報を計算できる、実際に運用可能なシステムはほとんどなかった」と述べている。