韓国の公正取引委員会は9月15日、米国グーグル(注1)に対し、サムスン電子などの機器メーカーが派生版アンドロイド(フォークOS、注2)の搭載機器を制限することで、競合他社のOS市場を妨害したとして、公正取引法の市場支配的地位の乱用行為および不公正な取引行為に違反するとして、是正措置命令および課徴金2,074億ウォン(約195億円、1ウォン=約0.094円)を科した。
本事案は、2011年から、グーグルがサムスン電子など機器メーカーにとって必須とされる「モバイルアプリ流通協定」と、「アンドロイドの先行アクセス権契約」を結ぶ前提として、「反フラグメンテーション協定」(Anti-Fragmentation Agreement:AFA)を締結することを強要していたというものだ(注3)。
「反フラグメンテーション協定」により、スマートフォンのみならず、スマートウォッチ、スマートテレビなどの機器においても、競合OSを搭載した機器の販売が制限された。非競争的な契約により、米国アマゾン・ドット・コムや中国アリババ集団などによるモバイル端末向けOS事業は失敗に終わり、結果、フォークOSを搭載のスマートウォッチ、スマートテレビなど、新しいスマート機器の発売が不可能になり、その他スマート機器向けのOS開発分野の技術進歩が大きく阻害された。
今回の命令に関し、公正取引委員会は「本措置により、モバイル端末向けOSやアプリストア分野の競争環境を整備する契機を与えたことに意義がある」としつつ、特に、スマートウォッチ、自動車、ロボットなどのスマート機器分野において、革新的な機器やサービスが出現する基盤を整えた点が重要だとしている。
なお、グーグル側は今回の命令に対し、訴訟を提起するとコメントしている。
(注1)グーグルLLC、グーグルアジアパシフィックおよびグーグルコリアの3社。
(注2)フォークOSは、オープンソースとなったグーグルのアンドロイドOSのソースコードを改編したOSで、グーグルにとっては競合OSとなる。
(注3)「モバイルアプリ流通協定」は、プレイストア、グーグルサーチ、ユーチューブなどのサービスを端末に搭載する内容の契約、「アンドロイドの先行アクセス権契約」は、グーグルが最新バージョンのアンドロイドのソースコードを公開する6カ月前に、先行アクセス権契約を結んだ機器にのみソースコードを開示する契約、「反フラグメンテーション協定」は、機器メーカーは他事業者によるフォークOSを搭載した機器を発売してはならないという協定。
(当間正明)