■連載/阿部純子のトレンド探検隊
ユーザーの声を反映し月額利用を廃止、アプリも使いやすく変更
LIXILでは住まいの建材や住宅設備機器、家電、センサをつないで、利便性と安全を提供するIoTホームリンク「ライフアシスト」を2018年に発売。“スマートホームを、もっと身近に”のコンセプトのもと商品をリニューアルした「ライフアシスト 2」を7月より販売開始した。
先行の「ライフアシスト」では、IoTを知らなかったがビルダーに紹介されてつけてみたという人が7割以上だったという。付けてみると便利さを実感したエンドユーザーも多く好評だった反面、「月額1980円の利用料金は高い」「アプリが使いづらい・わかりづらい」というエンドユーザーの声、「月額課金だとお客様に提案しづらい」「設定が難しく、時間がかかる」といったプロユーザーの声もあり、それらの課題を解決し、より使いやすくバージョンアップした。
〇毎月の使用料が不要
月額利用料方式は廃止し、ホームデバイスを1台5万5000円で販売する(センサ、カメラ等のオプションは別途料金がかかる)。
〇設定は自宅のルータと接続してペアリングするだけ
ホームデバイスを自宅にあるLANルータに接続してペアリングすれば設定完了。ペアリングは専用アプリの画面の指示に従って簡単にできる。ホームデバイスとつなげる、JEM-Aアダプタ、温湿度センサ、広域人感センサ、屋内外カメラ、赤外線集中リモコン、ドア窓センサ、スマートフォンがなくても操作ができるクリッカーといった周辺機器のオプションも用意。機器とのペアリングもアプリから追加でき、欲しい機器があればアプリからオンラインショップに移動して購入することも可能。
窓、エクステリア、システムバスルーム、システムキッチンといったLIXIL商品との連携もさらに強化する。他メーカーのスマート機器との接続も可能で、対応機器は順次拡大していくとのこと。
〇直感的に使えるアプリで初めてでもスムーズに使える
アプリ画面もシンプルで、家や家族の状況をひと目で確認できる。リモコン感覚で簡単に操作ができて、インターネットやデジタル機器が苦手な人でも使いやすい仕様に。従来のLIXILのスマートホームは「何でもできる」というユーザー任せの販売方法だったが、逆にユーザーが何をしていいのかわからず、設定しないことが多かったため、シャッターを開ける、エアコン、照明のオン・オフといった基本動作はプリセットにして、追加、削除したい場合は編集を行う形に。
「おはよう」「おやすみ」「ただいま」「いってきます」など、シーンを選択することで、そのシーンに適した操作をライフアシストが提案。シーンを設定する場合も、「おはよう」をタップすれば次の操作へと導くといった、直感的に使えるアプリで自分に合った設定が簡単にできるようになった。
「曜日・時間」「天気」「GPS」「温度・湿度・照度」「ドア開閉」「人感」をきっかけに、設備や家電を一斉操作し、日々の暮らしに合わせて自由にルール設定できる。
〇安心の見守り機能
同居家族や離れた家族も含めた最大10人分までIDの発行と、IDごとに権限を設定できる機能を追加した。IDごとに権限設定することで、父と母はすべての部屋の操作の権限を持ち、子どもは自分の部屋のみの操作権限といった形ができる。また、遠方の家族の見守りとして、照明のオン・オフをトリガーに操作履歴だけ確認するなど、プライバシーに配慮した形でも可能。
【AJの読み】直感的に使える専用アプリやプリセット仕様でスマートホームを身近に
スマホやスマートスピーカーへのひと声で、住宅設備や家電をコントロールできるスマートホーム。リモコンを探し回る必要がなくスマホで家の中でも外でも操作ができ、スマートスピーカーへの声掛けで非接触での機器操作ができるので、手を触れずに電気をつけたり、料理中で手が離せなくても声で指示できたり、ひと声で複数の機器の操作ができたりと安心感があり利便性も高い。
ライフアシスト2では、天気予報と連動してシャッターを閉める、GPS機能で最寄り駅に到着したら自動でエアコンを入れる、温度・湿度・照度センサで熱中症の危険性がある30℃以上を超えたら自動でエアコンを入れるといった、さらに生活に寄り添った機能も追加している。
先行ライフアシストではIoTを知らなかったにもかかわらず導入した人が7割以上で、利便性の高さから「ライフアシストのない生活は考えられない」という声も多く寄せられているという。使ってみると便利さを実感できるのがスマートホームだが、日本のスマートホーム普及率は、直近の調査ではようやく二桁台になったが諸外国と比較するとかなり低い状況だ。
理由はいくつかあるが、そのひとつが機器の設定、操作が面倒だと思われていること。ライフアシスト2ではその点を改善すべく、直感的に使える専用アプリや、よく使う機器についてはプリセットされているなど、インターネットやデジタル機器が苦手な人でも使いやすい仕様を導入している。それでも設置方法に不安がある人にはメールや電話でのサポートに加え、設置や接続をしてもらえる有料サービスもある。
今後、LIXILでは自治体と協働でさまざまな実証実験を実施予定とのことで、公共施設のカギの遠隔操作やキーシェアリング、自治体が設置した屋外カメラを地域住民も利用可能にするといった、地域の利便性、防犯性向上としてIoTホームリンクの活用を模索していきたいと話す。自宅だけでなく住まう場所も含めた「便利を身近に」の取り組みに期待したい。
文/阿部純子