AndroidのUSB Class Audioやハイレゾ対応に変化は?
前バージョンであるAndroid 5.0 Lollipopがリリースされたのが昨年11月だったので、1年弱でのメジャーバージョンアップ。LollipopではUSBオーディオとの接続がサポートされたという点では大きな進化があったが、USB Class Audio 1.0の対応であり、最高でも48kHzまでの音しか再生できないという状況だった。
もちろん、これはOSレベルでの話であり、ウォークマンをはじめ、各社からハイレゾ再生を実現する専用端末はいくつも登場してはいた。ただ、多くのAndroid搭載機器で、WindowsやMac、iOSのように誰でもがハイレゾを楽しめるという状況ではなかったので、これがどうなるのか、というのが気になるところだ。まあ、WindowsもOS自体はWindows 10になってもUSB Class Audio 2.0対応はしていないわけだが、オーディオインターフェイス/USB DACメーカー各社がドライバを出し、アプリケーションもそれに対応しているので、まったく問題なく使えるわけで、Androidとはまったく事情が異なる。
一方、OSがMIDI対応するとなると、iPhoneやiPadのように楽器として使えるようになるのではと期待も高まるところだが、実際どうなっているのだろうか?
Android 6.0がリリースされるというので、手持ちのNexus 10をアップデートして試してみようと期待していたのだが、よくチェックしてみると、アップデートに対応しているのはNexusシリーズでは、Nexus 5、Nexus6、Nexus7(2013)、Nexus9、Nexus Playerとなっており、Nexus7(2012)およびNexus 10は対象外。誕生から2年半経過しているので、この進化の速い世界においては仕方ないのかもしれないが……。Nexusシリーズが音楽系で魅力的な機器になっているのであれば、新機種も喜んで購入するところだが、これまでのところは、まともに使えるものではなかった。そこで今回は、編集部にあったNexus 5を借りてチェックすることにした。
Nexus 5(左)とNexus 10(右)手元に届いたNexus5はすでにAndoroid 6.0にアップデートされていたので、使うにはGoogleのアカウントをセッティングし、必要なアプリケーションをインストールするのみ。さっそくセットアップし、まずは一番気になる「USB Class Audio 2.0に対応したのか?」という点からチェックしてみた。NexusシリーズなどのAndroid機器においてUSB機材を接続するには、Android側をUSBホストとして機能させるためのOTG(On The Go)ケーブルが必要になる。これを使って、USB Class Audio 2.0対応のオーディオインターフェイスであるSteinbergのUR242を接続してみたところ……、残念ながら認識することはできなかった。
アカウント設定OTGケーブルで接続ほかにもTASCAMのUS-2x2、ティアックのUSB DACであるUD-301などを接続してみたが結果は同様。やはりUSB Class Audio 2.0対応にはなっていないようだった。ただし、完全にダメというわけではない。以前、第623回の記事でも書いた、ONKYOのアプリ、「HF Player」および、ロック解除のための「HF Player-Unlock Key」を1,000円で購入しておくと、これらのデバイスが利用可能になるのだ。
USB DAC「UD-301」と接続してHF Playerで再生まず上記に挙げたUSB Class Audio 2.0対応機器をOTGケーブル経由でNexus 5に接続すると、すぐに、「アプリ HF Player にUSBデバイスへのアクセスを許可しますか? 」というメッセージが表示される。ここでOKをすれば、もうHF Playerでこれらの機器を認識することが可能になる。実際にHF Playerを使って96kHzのデータを再生すれば、96kHzで音が出せるし、192kHzのデータを再生すれば、192kHzで信号が渡せる。このことは、UD-301のインジケータを見ても確認することができる。また、HF PlayerでDSDの出力形式をDoPに設定しておけば、DSDネイティブでの再生も可能だ。
HF PlayerにUSB機器へ接続を許可192kHzなどのハイレゾ再生も可能UD-301のインジケータでハイレゾ再生を確認DoPに設定すればDSD再生も可能もっとも、これらはAndroid 6.0の機能ではなく、HF Playerが行なっているものであり、Android 5.0でも同様のことはできていたので、今回の進化点というわけではない。そのためAndroid標準アプリであるPlayミュージックなどで、これらUSB Class Audio 2.0対応機器を使うことはできないのだ。
このほかにも、HF Playerと同様のことができるアプリとして、ラディウスのアプリ「NePLAYER」(1,800円)があるので、これを購入して試してみた。しかし残念ながらNexus 5においては、うまく動かすことができなかった。NePLAYERのオープニング画面が出ている状態で、USBオーディオ機器を接続すると、「外部機器が接続されました」というメッセージまでは出る。これでうまく行くかなと思って次に進もうとすると、強制終了してしまったのだ。もしかしたら、何かのアプリとバッティングしているか、Nexus 5との相性が悪いということなのかもしれないが、いろいろ試してもうまく動かすことができなかった。
ラディウスのハイレゾ再生アプリ「NePLAYER」を購入「外部機器が接続されました」というメッセージを表示次に進むと、強制終了してしまった