クリエイティブなユーザー向けのペンタブレット分野で常に業界をリードし続けている株式会社ワコム。プロの漫画家やイラストレーターが使うペンタブレットだけでなく、金融商品の契約やホテルのチェックインなどで使われる電子サインや、自治体の届出書類の電子化を中心に、役所の窓口の電子化するサポートなど多様なビジネスシーンにもワコム製品が使われています。
個人、法人向けの全てのお客様の問い合わせの窓口を担っているのがワコムサポートセンターです。実は少数精鋭で、入社するまでワコム製品を触ったことがないという元々は初心者の人がほとんど。研修プログラムで膨大な知識を習得し、日々「どこまでお客様に寄り添えるか」を考えて、応対品質の向上に努めています。そんなワコムサポートセンターで働く方々に、お客様への想いを伺いました。
初心者だから寄り添えるワコムサポートセンター
テクニカルサポートマネージャーの荒
―ワコムサポートセンターはどのような組織なのでしょうか?
「ほとんどのサポートセンターのメンバーは、ペンタブレット初心者でした。私は十数年前になりますが、ワコムに入社する前までは『ペンタブレットって何?』と右も左もわからない状態だったので、初心者の方の気持ちがものすごくよくわかります。『ペンタブレットを使ってとにかく絵を描きたいのに最初の一歩がわからない』というお客様も多くいらっしゃるので、その方々の気持ちに寄り添うご案内していくことが大切だと考えて組織を作っています。」
徹底したカリキュラムで全ての製品知識を習得
―先ほどペンタブレット初心者だったと伺いましたが、どのように知識を習得するのでしょうか?
「ワコムサポートセンターで働いているメンバーには、初めてワコム製品を触ったり、今までペンタブレットを使ったことがない人もいるので、最初にトレーニングを行います。通常は1カ月くらいかけて全ての製品知識を学びます。弊社の製品は一般のお客様が使うものだけでなく、病院や学校、ショッピングモールやホテルなどの法人のお客様に向けた製品も数多くあるので、期間内に全ての製品の知識を習得してもらいます。」
―1カ月のトレーニングで知識を得て深めていくのですね。
「はい。製品知識のトレーニングのあとは、トラブルシューティングや過去事例などの知識も身につけてもらいます。トレーニングの内容がちゃんと身についているのか確認するために継続してテストを行っています。」
少数精鋭だからこそできるチーム作り
ワコム製品が並ぶ「検証機ブース」
―ワコムサポートセンターは、どれくらいの人数の方が働いていますか?
「他のコールセンターに比べるとワコムサポートセンターはとても人数が少ないコールセンターです。逆に人数が少ないからこそ連携が取りやすいというメリットがあります。」
―少数精鋭で運営するのは大変だと思うのですが、少数精鋭でパフォーマンスを発揮するポイントはありますか?
「チームワークの良さが一番ですね。他部署との連携も非常にスムーズで、お客様にもご負担を与えないように素早く連携するようにしています。それに加えて、知識の共有にも力を入れています。最新の知識をチームに共有し、すぐにお客様にご案内できるようにしています。既にリリースされている製品でも新機能が追加されることがあるので、そういった情報を常にアップデートしています。」
―トレーニング後も新しい製品の追加や、過去の製品のお問い合わせもあるかと思うのですがどのようにサポートしていますか?
「やはりマニュアルだけだと、どうしてもわからない点や身につかない部分も多いので、実際に製品を触って様々な使い方を試しています。ほとんどのワコム製品が置かれている「検証機ブース」がサポートセンター内にあるので、お問い合わせいただいたお客様の状況を検証機を使い再現しながらご説明することもあります。」
電話・チャット・メール3つの問い合わせ方法に対応
ワコムサポートセンターの様子
―サポートセンターに問い合わせる場合「電話」のイメージが強いのですが、他にどういった問い合わせの方法がありますか?
「現在は、電話・チャット・メールの3つの方法があります。例えば電話が繋がりにくい場合は、メールを利用していただければと思います。メールの返信は24時間以内に対応するように心がけています。リアルタイムに聞きたい場合はチャットを利用されるお客様も多いです。」
―3種類の問い合わせの方法があるんですね。少人数で様々な問い合わせに対応するのは大変だと思うのですが、スムーズに対応するポイントはありますか?
「例えばメールでの対応の場合は、最初に対応した人が専任で最後まで担当する形式を採用しています。別の担当者になって、お客様がまた一から説明するようなお手間を取らせてしまうといったことがないようにしています。電話の場合は会話のログをとっているので、別の者が電話をかけてもスムーズに対応できるよう工夫しています。」
―様々な工夫があるのですね。
「そうですね。それぞれのお客様にとって最適な対応を常に目指しています。プリントアウトしてご覧いただいた方がわかりやすい場合などは、手順をメールでお送りし、その手順でつまずいたポイントがあれば電話でサポートをするという形をとることもあります。他にも例えば高齢のお客様など、メールでご説明するよりは、お電話の方が解決に導けそうという場合には、お客様の悩みを全て解決するまで何時間でもお電話で対応します。それぞれのお客様に合わせて最適な方法がとれるよう常に心がけています。」
問い合わせで一番多い「購入前相談」
―実際はどういった内容のお問い合わせが多いのでしょうか?
「こちらのグラフを見ていただきたいのですが、ワコムサポートセンターでは『購入前相談』という購入前のサポートを行っており、お客様のニーズに合わせた製品のご提案をさせていただいています。」
―購入前に相談できるのは便利ですね。口頭だけで製品の説明するのはなかなか難しいと思うのですが、気を付けているポイントはありますか?
「どうしても言葉だけでは伝えにくいので、ワコムの通販サイトを一緒に見ていただき、画像を見ながら、タブレットやペンの特徴を詳しくご説明する場合もあります。」
―個人のお客様の場合、板型のペンタブレットと液晶ペンタブレットのどちらを購入すべきかで悩まれる方も多いと思います。その場合、お客様の感覚的な好みもあるかと思いますが、どういった説明を行うのでしょうか?
「お客様が何をされたいかを伺って対応をしていますが、大きなポイントは「予算」ですね。板型ペンタブレットと液晶ペンタブレットでは価格が大きく変わってくるので、ご要望とご予算をお伺いしながら製品を絞っていきます。板型ペンタブレットの場合はPCを見ながら操作するので手元が動かしやすかったり、液晶ペンタブレットの場合は画面に直接線が書けるので直感的な操作がしやすかったりと、それぞれ特徴があります。お客様に製品の特徴をご案内しつつ、どういう使い方をしたいのか詳細をヒアリングしていきながら、お客様のニーズに応えられる製品を探していきます。」
―ここ数年で増えている『購入前相談』の傾向はありますか?
「基本的にはイラストを描いたり写真を加工したりといった用途のお客様が多いのですが、塾でホワイドボードとして使いたいなどといったビジネス向けの用途のご質問もここ数年で多くなっています。あとは、イラストに関してもお子さまに絵を描かせたいという保護者の方からのお問い合わせも増えていますね。そういった場合は、お子さまがどういう用途で使うのかというところを詳しくヒアリングするようにしています。」
―保護者の方がお子さまにペンタブレットを導入する時代なんですね。
「最近はPCを持っていないご家庭も多いので、保護者の方からご相談いただく場合は『まずはPCに繋いでいただく必要があります』ということからしっかりお伝えします。PC初心者の方にもわかりやすく伝わるように心がけています。」
顧客満足度97% の秘訣
お客様の悩みを解決できるよう実機を使いながら説明しています
―顧客満足度97%は驚きの数字なのですが、お客様との対応で気をつけている点などはありますか?
「お客様は『上手く動作しない』『接続がわからない』という状況で仕方なくお電話してくださることが多いと思っています。きちんとサポートしてもらえないんじゃないかという不安を抱えながらお問い合わせをくださっていると感じているので、その不安をどうにかして取り除いて、ご満足いただいけるようどこまで寄り添っていけるかが大事だと考えています。」
―できるだけお客様の気持ちに寄り添うことを大切にしているのですね。
「冒頭でもお話しましたが、入社するまではワコムの製品を触ったことがなかったので、自分たちも製品の使い方がわからなかったときの気持ちを大切にして対応しています。初心者のお客様がなぜ困っているのか、わからない部分はどこなのか、お気持ちにどこまで寄り添えるかを一番に考えています。」
―更に顧客満足度を高めていくための課題や目標などはありますか?
「もっとお客様の行動の先を『汲み取る』力を高めていきたいと思っています。例えば、お客様からワコムの製品を買ったときに登録するWacom IDを作りたいというご連絡が来たとすると、Wacom IDを作った後に何かやりたいことがあるはずなんです。ただWacom IDを作りたいだけではなく、作ったからこうしたい。ペンタブレットを手に入れたから絵を描きたいといったように、行動の先にお客様のご要望があるので、そこまで汲み取ってサポートできることを目標としています。」
お客様からの声が働くモチベーションに繋がる
お客様のSNSでいただいたコメントが日々の励みになります
―サポートセンターにはお客様の声が書かれたコーナもあり、思わずほっこりしたのですが、やはり「お客様の声があるからこそ頑張ろう」といった気持ちに繋がったりしますか?
「お客様に喜んでいただけるのが一番モチベーションに繋がります。最近対応させていただいたお客様から、コロナ禍ということもあり、厄除けとしてシーサーのイラストをプレゼントしていただきました。お客様が抱えていらっしゃったペンタブレットの問題を解決した後に、描いてくださったシーサーを見たときには、スタッフ全員感動してモチベーションにもつながりました。」
―実際に対応したお客様の絵を拝見できるのは感動しますね。
「ペンタブレットを使って描かれたイラストをメールで送っていただいたり、出版した本をわざわざ弊社まで送ってくださる方もいらっしゃいます。対応したお客様の作品を直に拝見できるのは、ワコムサポートセンターで働いて良かったと思える体験です。」
お客様の声を反映した「Wacom Cintiq Pro 16 (2021)」
―新しい「Wacom Cintiq Pro 16」が発売になりますね。
「『Wacom Cintiq Pro 16』の機能が改良されて11月5日に発売されますが、今までの開発のフローとは異なり、様々な部署に勤めている者が1つのチームになって、自分たちが接してきたお客様の声を反映して製品の改善を行いました。サポートセンターには『接続が難しい』といったお客様の声が多く届いていたので、特に接続の部分に関しては満足いただけるのではないかと思っています。」
―お客様の声がより良い製品に繋がっているんですね。
「やはり、お客様の声が今後のワコム製品をより良くしてくださると考えています。例えばお客様から『ここが使いづらい』や『こういう風にして欲しい』といったお問い合わせのお声が多ければ多いほど、お客様のご不便な点を解決する製品が今後増えていきますので、ぜひワコムサポートセンターをご活用いただきたいという想いは強くあります。ワコムサポートセンターのメンバーだけでなく、お客様も含めて一緒に製品を作っている仲間だと感じています。」
少しでもわからないことがあればサポートセンターを活用してほしい
「困ったことがあれば気軽に相談してほしい」と語る荒と鈴木
―サポートセンターに電話するのは少し気が引けてしまう印象があるのですが、気軽に相談してもいいのでしょうか?
「サポートセンターに電話する前に、ご自身で調べられたり、問題の解決に向けて色々対応していただいていることが多いのですが、サポートセンターに電話していただけると意外とスムーズに解決できることも多く『もっと早く電話すればよかった』とお声をいただいているので、気軽にご相談いただければと思っています。」
―相談内容はワコム製品だけなのでしょうか?
「ワコムの製品のご購入に合わせてPCを買われるお客様もいらっしゃるのですが、利用環境に合わないPCを買われたお客様からのお問い合わせが一番辛いです。絵を描きたいけれど購入されたPCがどうしてもワコムの製品と接続できない場合は、それ以上のご案内ができなくなってしまうので、その一歩手前でご連絡をいただければ、PC環境も含めてお客様1人1人に合ったものをご提示させていただきます。」
―PCを買い替えるタイミングで相談してもいいんですね。その段階でサポートセンターに相談できるのは目から鱗でした。
「買い替えてからワコム製品が使えなくて後悔する前に、お気軽にご相談いただければと思います。ワコムの製品は接続が難しいと思われがちなのは、PCの環境も含めた部分もあると思うので、できるだけお客様の悩みを一緒に解消していきたいと考えています。」
解決できないことがあったら気軽にサポートセンターへ
サポートセンターに問い合わせる場合、「接続できない」「正常に起動しない」といったトラブルが発生していることが多いため、お客様にとってはそのトラブルが起きた1回の相談でサポートセンターの印象が大きく変わってしまいます。その1回の対応をどうやってお客様の悩みを解決して、いかに満足していただけるか、ワコムサポートセンターでは、日々並々ならぬ決意でお客様の問題解決に向けて取り組んでいます。
「絵を描きたかったり、ビジネスに繋げたかったりと、お客様それぞれにやりたいことがありワコムの製品を選んでいただいたのに、接続が上手くいかなかったり起動しなかったりというところでつまずいてしまいガッカリしてしまう前に、何か気になることがあれば、ご連絡いただきたいです。ただ製品を売っているだけでなく、サポートも含め、ワコム製品を選んでよかったと思ってもらえるように、最適な環境を整えるためのお手伝いをさせていただければという想いが強くあります」と担当者は語ります。
ワコム製品でわからないことがあったり、気になる製品がある場合は『購入前相談』など気軽に活用してみてはいかがでしょうか?
デジタルアーティストやデザイナーのための新しいWacom® Cintiq® Pro 16
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