「そばって炭水化物で糖質が含まれているから、ダイエットには不向き?」
そばは主食になる食べ物なので、ダイエット中は食べる量を減らした方がいいと思っている人は少なくないでしょう。
今回は、そばの糖質がどれくらいで、ダイエットに効果的なのかについて、うどんと比較しながら紹介します。
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■そばに含まれる『糖質』とは『糖質制限ダイエット』、『糖質オフ』などは、最近よく目にするようになったキーワードですよね。では、そもそも『糖質』とはなんでしょうか。
・糖質はエネルギー源
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糖質は、からだの主要なエネルギー源です。糖質を摂取すると、消化し吸収されて血液と一緒に全身を巡り、からだの中でエネルギーになります。糖質1gあたり4kcalのエネルギーになります。脳は血液中の糖質が主なエネルギー源なので、糖質が不足してしまうと脳が働かずに頭が回らなくなってしまいます。
ただし、炭水化物の取りすぎには注意が必要です。1日に必要な糖質量を超えてしまうと、「脂肪として体に蓄積してしまう」という体の仕組みがあるためです。炭水化物は、グリコーゲンとして筋肉中や肝臓に、脂質は多くが皮下脂肪として蓄えられます。つかわれる優先順位は、筋肉中のグリコーゲン→肝臓中のグリコーゲン→脂質です。
お腹周りの脂肪が落としにくいのは、脂質(皮下脂肪)の優先順位が低いので、なかなかつかわれず燃焼しないという理由があるためです。
・毎日適量摂取するのが大切
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糖質はからだのエネルギー源なので、毎日適量摂取することが大切です。糖質が多く含まれている食べ物の代表は、ご飯、パン、麺類、いも、果物、砂糖、はちみつなどです。
一般的にご飯やパン、麺類、いもなどを『炭水化物』と呼びますが、糖質と炭水化物の違いはなんなのでしょうか。
炭水化物とは、食物繊維と糖質を合わせたものです。つまり、「炭水化物=食物繊維+糖質」という計算式が成り立ちます。食物繊維とは、血糖値の上昇を抑えて、コレステロールの排泄を助けるなどの働きをする大切な栄養素です。 糖質は血糖値の上昇を引き起こす原因にもなるので、食物繊維と合わせて摂取することによって、過剰な血糖値の上昇を抑えることができるのです。つまり、糖質単体で摂取することは、体に良くないということです。
一般的に『玄米』はからだに良いが、『白米』はからだに悪い食材であるといわれています。この理由は、白米を精製する際に、玄米に含まれる食物繊維を排除し糖質のみを残してしまうことが原因です。なので、毎日の食事を白米ではなく玄米に置き換えることをおすすめします。
まとめると、糖質と炭水化物は明確に区別が必要になります。
では、糖質量(炭水化物)の1日に必要な目安はどのくらいなのでしょうか。炭水化物の1日の摂取基準量は、男女ともに1日に食事から摂取するエネルギー(kcal)の50〜65%に相当する量です。1日に必要なカロリーはその人の体型などで異なりますが、活動量の少ない成人女性の場合は、1,400〜2,000kcal、男性は2,200±200kcal程度が目安だといわれています。
1日に摂取するエネルギーが2,000kcalとすると、50〜65%に相当するエネルギー量は1,000kcal〜1,300kcalになります。炭水化物の量に換算すると、だいたい250g〜325gくらいになります。つまり、1日に250gから325gの炭水化物を摂取することが望ましいということになります。
この量はだいたいお茶碗1〜2杯くらいご飯を食べたときの量になるので、覚えておきましょう。大半の人が炭水化物を摂取しすぎていることが、おわかりいただけるかと思います。
■そばのカロリーと糖質量
・乾麺
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『乾麺』(かんめん)は、生麺と異なり乾燥させた麺類のことです。調理法にもよりますが、生麺に比べ、一般に麺のコシが強いことが特徴です。また、乾燥していることによって保存性が高く、食感向上の工夫をしているものもあります。
乾麺100gあたりのカロリーと糖質量は以下になります。
カロリー:344kcal糖質量 :63g・ゆでそば
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生そばではなく、あらかじめ茹でてある『ゆでそば』です。沸騰した熱湯にゆでそばを入れて、麺がほぐれたら火を止めるだけのお手軽な商品です。
ゆでそば100gあたりのカロリーと糖質量は以下になります。
カロリー:132kcal糖質量 :24g・生そば
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『生そば』とは、つなぎの小麦粉などを使用せずに、そば粉だけでつくったったそばのことです。高級店やお土産屋さんでよく目にすると思います。
江戸時代に、そばの普及にともなって小麦粉を多く混ぜて作った質の低下したそばが増えました。そして、高級店ではそば粉だけで打つ「生蕎麦」、「生粉打ち」、「手打ち」などを看板とし、一級店であることを宣伝したとされています。
生そば100gあたりのカロリーと糖質量は以下になります。
カロリー:274kcal糖質量 :52g・そばの種類により糖質は異なる
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そばには、かけそば、ざるそば、山菜そば、天ぷらそばなど、さまざまな種類のそばがあります。当然、種類によって糖質量が異なってきます。
中でも、糖質量が多いのが天ぷらそばです。天ぷらは衣の原料に小麦粉がつかわれ、たっぷりの油で揚げます。「野菜の天ぷらやかき揚げだったら、まだいいのではないか」と思うかもしれませんが、基本的にはおすすめしません。とくにかき揚げは油のつく面積が大きく、それだけ油を吸うことになり脂質やカロリーがとても多くなってしまいます。
野菜については、かぼちゃとなすの天ぷらはやめておきましょう。かぼちゃは糖質が高いですし、なすは油をよく吸います。そのほかの野菜ならまだよいかもしれませんが、油で揚げて野菜を食べるより、揚げずに茹でた野菜をトッピングしたり、サラダで食べる方が糖質を気にするダイエット中の時期にはよいでしょう。糖質を気にする人には、天ぷらそばではなく、食物繊維が豊富な山菜そばやシンプルにかけそばをおすすめします。
■そばとうどんの糖質の違いそばとうどんではどちらが糖質が高いのでしょうか。日本の食文化では欠かせない両者の糖質を見ていきましょう。
・ゆでうどんの糖質
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ゆでうどんの糖質量は100gあたり20.8gです。ゆでそばの糖質量が100gあたり24gなので、糖質はそばの方がうどんより少し高めなことがわかります。それにカロリーもそばの方がうどんよりも高めです。
これだけ聞くと、「ダイエットにはそばよりうどんの方が効果的ではないか」と思われるかもしれませんが、そばにはダイエットに最適な栄養素が含まれているため、うどんよりもダイエットに向いている食材といえます。後ほど詳しくそばの栄養素について紹介しますので、ぜひ読んでみてください。
・うどんの種類により異なる
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うどんにもたくさん種類があります。かけうどん、天ぷらうどん、きつねうどん、たぬきうどん、カレーうどんもありますよね。うどんも種類によって糖質の量が異なります。
油揚げを1枚のせるきつねうどんや天ぷらをのせるたぬきうどん、カレーうどんは脂質が高くなるので、必然カロリーも上がります。カロリーを抑えながらうどんを食べたいときは、シンプルなかけうどんを食べ方がよいでしょう。
■そばと他の主食の糖質の違いそば、うどん以外にもたくさんある主食。それぞれの糖質についてまとめました。
・ご飯の場合
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ご飯(白米)の糖質量は下記になります。
100gあたり:35.6g1杯(150g)あたり:53.4gゆでそばの糖質と比べると、ご飯の糖質は高いことがわかります。昔からのなごりなのか、日本人はご飯を主食とする文化が根強いですよね。「日本人はご飯を食べ過ぎている」とよくいわれますが、1日3食ご飯(白米)1杯を食べることはバランスの良い食事で健康に良さそうですが、明らかに食べ過ぎなので注意しましょう。
・食パンの場合
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食パンの糖質量は下記になります。
100gあたり:44.3g6枚切り1枚(60g)あたり:26.6gパンはご飯よりも糖質が高いことがわかります。先に示した数値は食パンですが、パンは糖質が高い菓子パンや惣菜パンが多いため、もっと糖質が高くなりますので極力控えましょう。
糖質制限中にどうしてもパンを食べたいときは、『全粒粉パン』をおすすめします。全粒粉パンは後から詳しく紹介しますが低GI食品と呼ばれている健康に良い食材です。栄養素がとても高くおいしいので、ぜひ、お試しください。
・パスタの場合
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ゆでパスタの糖質量は下記になります。
100gあたり:29.2g1人前(200g)あたり:58.4g日持ちもよく最近冷凍食品として大活躍のお手軽なパスタは、ご飯やパンに比べれば糖質が低めではあるものの、1人前の糖質量はかなりのものです。食べ過ぎは禁物です。
■そばは『低GI食品』
・『GI値』とは『GI値』とは、商品に含まれる糖質の吸収度合いを示し、摂取してから2時間までの血液中の糖濃度を測ったものです。GIが70以上の食品を高GI食品、56〜69の食品を中GI食品、55以下の食品を低GI食品と定義しています。
高GI食品を食べると、急激に血糖値が上昇します。すると、膵臓から『インスリン』と呼ばれるホルモンが多量に分泌し、血糖値を下げます。このインスリンの分泌が追い付かなくなると、血糖値が下がりにくくなってしまい高血糖が続きます。このような血液中の糖濃度が慢性的に高い状態のことを『糖尿病』といいます。
また、このインスリンは血糖値を下げる役割のほかに、脂肪をつくったり、脂肪の分解を抑制する働きもあります。つまり、高GI値食品を食べすぎると、糖尿病にもなりますし肥満にもなるわけです。
一方低GI食品は、現代人に急増している深刻な病気である肥満やメタボリックシンドロームの予防や改善の観点で注目されています。
・そばとうどんのGI値の違い
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そばはうどんよりGI値が低いことが特徴です。一般的にそばのGI値は54であるのに対し、うどんのGI値は80です。そばは低GI食品であり、うどんは高GI食品になります。同じ炭水化物のそばとうどんですが、カロリーはそこまで差がありませんでしたが、GI値に関しては大きな差があります。
・そばはダイエットによいの?
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そばはダイエットによいのでしょうか。
そばは主食で炭水化物なので、カロリーが特別低い、ということではありません。また、「そばアレルギー」のある人には向きませんし、白米に比べて同じ量を食べても満足感が少ないと感じる人が多いようです。
しかし、そばはダイエットに効果的な面もあります。
まず、そばは食物繊維がたくさんはいっています。ほかの麺類にはほぼ含まれていない食物繊維なのですが、そばには食物繊維が100gあたり3.7gも含まれています! 食物繊維は糖尿病、脂質異常症、高血圧、動脈硬化など、さまざまな生活習慣病の予防に効果があります。現代人が不足しがちといわれている食物繊維が主食から摂取できるのは大きな利点です。
また、前述しましたが、GI値が低いこともダイエットに効果的な要素のひとつです。
そばは家でも外食でも、日常的に取り入れやすい食品です。簡単に調理できますし、バリエーションも豊富で飽きないという面でも、ダイエットには向いている食材といえるでしょう。
■そばの糖質を考えたおすすめの食べ方と注意点
・『十割そば』がおすすめ
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ダイエット中の糖質制限には『十割そば』がおすすめです。十割そばとは、つなぎを使わずそば粉だけでつくったそばのことです。そば粉には麺としてつなげる役割をもつ粘りのある成分が少ないので、十割そばを打つのには高度な技術を要します。そのため、グルテンを持つ小麦粉や、粘りがある山芋などをつなぎとして使用するのが一般的になっています。良質なたんぱく質をとれるし、小麦粉より食物繊維が多いことが特徴です。
そばを購入するときは、そば粉と小麦粉の割合に気を付けましょう。そば粉の割合が10であれば十割そば、9であれば九割そば、2であれば二八そばといわれます。小麦粉の割合が高いほど、血糖値が上がりやすくなるので、十割そばや九割そばを購入するようにしましょう。
・そばだけでは食べず、野菜などをトッピングして食べる
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そばだけでは、たんぱく質やビタミン、ミネラルが不足してしまいます。ネギや山菜などの野菜をトッピングして、栄養を補いましょう。また、卵や鶏肉などのたんぱく質や海藻、きのこをトッピングしてもよいでしょう。
ここで注意してほしいのは、そばのつゆを飲まないことです。そばのつゆは出汁がきいていて、おいしいですよね。しかし、そばだけでなくラーメンやうどんなど、つゆがある麺類には共通することですが、塩分を過剰に摂取してしまうことになり身体の浮腫みを招きやすいので、注意しましょう。
・麺はかためで
麺は、やわらかいよりもかたい方が糖の吸収が遅くなり、急激なGI値の上昇を抑える可能性が高くなります。麺をゆでるときは、商品に書かれたゆで時間よりも1〜2分くらい短くても、こしがあっておいしいです。かたさが調節できるようなら、かためを選ぶようにしましょう。
■ダイエット中の主食はそばにしよう!
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今回は、そばのカロリー・糖質量やそばがダイエットに効果的なのかについて、うどんと比較しながら紹介してきました。
ダイエットは栄養バランスのとれた食事と適度な運動を行い、健康的な体重をコントロールするのが理想です。ダイエット中だとどうしても食事の量が減り、栄養素が不足しがちになるでしょう。そんな糖質制限中の主食には、栄養素が豊富なそばをつかったレシピを取り入れてみましょう。ほかの炭水化物の主食よりもダイエットに向いています。