「通勤しただけでヘトヘト」朝から疲れてしまう人に共通する"ダメな姿勢" 「疲れない姿勢」のための4つの原則

疲れるのは、仕事量でも通勤時間でもなく「重力」のせい

みなさんは「宇宙に行くと肩こりが治る」という話を聞いたことがありますか?

これは宇宙飛行士の金井宣茂さんが、あるインタビューで語られた話ですが、重力の影響がない宇宙空間では、人の身体で一番重い頭を支える必要がなくなるため、肩こりが一切ないのだそうです。

私は、約30年間にわたり、人間の動作を観察・記録して、運動学や解剖学、物理学などに沿った「人体構造に合った正しい動作」を検証し、スポーツの世界に還元していく動作解析という分野の専門家として選手たちをサポートしてきました。

「通勤しただけでヘトヘト」朝から疲れてしまう人に共通する

その研究の中でわかってきたことが、人間が疲れてしまう大本の原因は、地球の重力にあるということです。

人間は、地球の重力に対して、たった2本の足だけで抗っています。多くの生き物が、重力という巨大な力を分散させるために4本足で踏ん張っているのと異なり、人間は2本の足だけの不安定な状態で重力を受け止めています。だからこそ、なるべく重力を受ける面積を少なくする姿勢を取り続ける必要があります。

ですが、子どもの頃に「胸を張れ!」など間違った姿勢指導を受けてしまったがために、重力を受ける面積が広がり、疲れる姿勢を「正しい姿勢」と誤解し、大人になって筋力が低下してきたときに疲れを実感しはじめるのです。

今回は拙著『疲れないカラダ大図鑑』より、疲れない立ち方についてお伝えします。

気をつけの姿勢で「胸を張れ!」はとんでもない間違い

体育の時間に「気をつけ!」の号令がかかった時、うまくできていないと「胸を張れ!」と指導された経験はありませんか? このとき指導された経験が、大人になってからも記憶に残り続け、正しい立ち方とは「胸を張って立つ」ことだと思っている人が多いと思います。

ですが、これは大きな間違いです。

「正しい立ち方」とは、真上から見たときの体の面積をできる限り小さくした姿勢です。外国の人が、大きな水がめや荷物を頭の上に載せて立っている映像を見たことはありませんか? あの立ち方こそが、人体の構造的に理にかなった「正しい立ち方」だと言えます。