計算社会科学でSNSを分析する東京大学・鳥海不二夫教授が語る「コロナデマと炎上の構造」

コロナ禍で浮き彫りになったのが、SNSの持つ負の側面だ。トイレットペーパーの買い占めやワクチンに関する不正確な情報など、コロナ関連のデマは枚挙にいとまがなく、社会に混乱や分断を生み出し続けている。

こうした現象を計算機科学の手法で分析するスペシャリストに、今後も向き合うことになるであろうSNS上のデマ、そして炎上の構造について聞いた!

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■デマの起点はごく少数の人

「コロナのワクチンで不妊になる」

計算社会科学でSNSを分析する東京大学・鳥海不二夫教授が語る「コロナデマと炎上の構造」

「ワクチンにはマイクロチップが仕込まれている」

SNS上では新型コロナウイルスのワクチンに関する不確かな情報が今日も拡散され続けている。

では、デマはどのように拡散するのか? 計算社会科学の手法でSNSを分析する、東京大学大学院工学系研究科の鳥海不二夫(とりうみ・ふじお)教授に聞いた。

――SNSを見ていると、いわゆるワクチンデマをしばしば見かけます。

鳥海 大きな社会問題ですよね。ただ、まず大事なのは、社会にはいろいろな意見があるべきですし、ワクチンに批判的な投稿=すべてデマ、というわけではない点です。とはいえ、ワクチンのような健康に関わる出来事に関しては、被害者が出てしまいますから科学的に誤った情報が出回るのはまずいですよね。そういう意味では、そのようなデマは問題です。

私はもともとコンピューターサイエンスの手法で社会を分析する研究をしていたんですが、2011年の東日本大震災以降、SNS上のデマの分析をするようになりました。大量のデータを扱い、例えば特定のデマがいつ、どのように広まったのか、どういう人が広めたのかを可視化できるんです。

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