「プロテイン」や「豆」がダイエットやSDGsで話題に
【あの食トレンドを深掘り!】90年代に流行した「ティラミス」、数年前に話題になった「おにぎらず」、直近では社会現象にもなった「タピオカ」など、日々生まれている食のトレンド。なぜブームになったのか、その理由を考えたことはありますか? 作家・生活史研究家の阿古真理さんに、その裏側を独自の視点で語っていただきました。◇ ◇ ◇
ダイエットで「プロテイン」が人気
タンパク質が注目されている。若者を中心にスポーツをする人たち、肥満が気になる人などがプロテインダイエットに取り組む。タンパク質を指す英語「プロテイン」は、サプリメントとして各社から出され、人気が高い。2010年代半ばに流行った糖質制限ダイエットの延長線上で注目されたと考えられる。炭水化物を避ける一方で、タンパク質を積極的に摂ろうと心掛ける人たちが目立つからだ。しかし、タンパク質はそんなにたくさん必要だろうか? 以前テレビ番組で食材を並べ1日に必要な栄養摂取量を紹介している場面を観たが、タンパク質はかなり小さい牛肉の塊で示していた。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」によると、大人の男性は年代によって60または65グラム、女性は50グラム。本当に少ない。しかし、タンパク質を多く含む食品はたいてい、ほかの栄養素も豊富に含む。コメや小麦粉は炭水化物も多い。肉には脂身もある。太りそうな印象の食べ物が多いことも、食事で摂るよりプロテインを求める流行につながっているのだろうか。
男性にも流行した、糖質制限ダイエット
考えてみれば、糖質制限ダイエット自体が、それまでのダイエットと様相が違っていた。リンゴダイエットやバナナダイエット、寒天ダイエットといった食事法によるダイエットは、健康雑誌などが発信源となり、主に女性たちの間で流行していた。ダイエット特集は私が中高生時代を過ごした1980年代にはすでに女性誌の定番企画で、健康雑誌も1975年に誕生している。思えば最初の健康雑誌、『安心』(マキノ出版)で紹介された紅茶キノコダイエットは当時の大ブームだった。ちなみに、自家培養の発酵食品の紅茶キノコはその後アメリカに渡り、「コンブ茶」と呼ばれて流行したのち、最近日本で再流行している。少なくともその時代から、若い女性は見た目の美しさを求めて、中高年女性は美容に加え健康管理を求め、ダイエットに励んできた。ところ、糖質制限ダイエットは流行当初から、男性で取り組む人の声をよく聞いた。それはもしかすると、時代が変わったからかもしれない。厚生労働省が脳梗塞などにつながりかねないメタボリックシンドロームの用語を発信して流行らせ、危険因子の一つとして肥満を挙げたのが2006年。企業も社員の健康管理のため、生活指導に力を入れるようになっていく。『体脂肪計タニタの社員食堂』(大和書房)が出てベストセラーになったのが、2010年。タニタは2012年から一般の人が利用できる食堂事業も開始している。2010年代は、栄養学の基礎を身に着けた家庭科共修世代の男性が30代に突入した時期でもある。これまで、食事での健康管理といえば女性の専売特許のようだったのに、肥満が気になる年代になった男性が、食事の栄養バランスに気をつけるようになる。メタボの要因である生活習慣病患者に向け、医療現場でもすすめられることも大きい。健康の話題が盛り上がるのは、日本が高齢社会に突入していることや、経済の落ち込みが長く不安が大きいことが要因かもしれない。そうした中に、男女問わず関心が高まるプロテインダイエットがある。
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最終更新:クックパッドニュース