体重が減る時期にたどり着くのは、なかなか難しい。そのために適切なことをすべてやっているのに、それでもボディに変化が見られないというの、はフラストレーションが溜まる。特に、「この間までは体重が減っていたのに」という時には。
しかし、恐れることはない。それには理由があるのだ。少なくとも、あなたの体が体重を落としたくないわけではない。摂取カロリーを減らすと、体は"欠乏"していると受け止め、その状態に抵抗して体重を維持しようと反応することがあるのだ。
「体は何かがおかしいと感じ、体重を取り戻させようと、空腹感を感じさせるのです」と、肥満科外科医でカリフォニルア州ファウンテン・ヴァレーにあるMemorial Care Surgical Weight Loss Center at Orange Coast Medical Centerの医療ディレクター、ピーター・ルポート医師は語る。
また、体重が減り始めると(筋肉または脂肪の減少)、体の代謝率が衰え、カロリー燃焼率も落ちる。
苛立たしいことに、体がもう体重を減らしたくなくなる"限界値"もあると語るのは、ハーバード大学メディカル・スクールの内科と小児科講師で、マサチューセッツ総合病院の肥満学医師のファティマ・コーディー・スタンフォード医師だ。「何にトライしても、常に基準体重から5〜10ポンド(約2.3kg~4.5kg)内に入っていることに気づくと思います」と、彼女。「体重を減らそうとすると、体がその範囲をキープして、限界値を守るように脳が指令を出すのです」
ワークアウトをワンランク下げる
体重を落とそうとして極度の疲労感を感じているなら、ワークアウトが激しすぎるというサインかも。「持続するのが容易ではないレベルまで、身体的活動を強化しようとする人が多いということはよくあります」と、スタンフォード医師。「体重減という点では、短期的にはメリットがあるかもしれませんが、それを維持するのが難しく、結果的にまた体重を増やしてしまうことにつながります」
専門誌『Current Biology』に掲載されたある研究で、エクササイズ量を増やしても、それと同じ分だけカロリーを燃焼できるわけではないことがわかっている。逆に、適度なエクササイズをした人が、ジムであくせく運動した人と同じエネルギー量を使っていた。では、何がベストな方法なのだろう? NHS(イギリスの国民保健サービス)が推奨する1週間あたり最低2時間半(150分)の適度な激しさの有酸素運動と、脚やヒップ、背中、腹部、胸部、肩、腕など主な部分の筋肉にそれぞれ作用する筋力トレーニングを1週間あたり最低2日という目安でやること。
食生活にもっとタンパク質を取り入れる
「体重を落とすと、脳と体は空腹感を感じさせて補おうとするので、もっと食べたりエネルギーを蓄えたりするようになります」と、スタンフォード医師。専門誌『Obesity』に掲載された研究では、プラシーボ効果のあるものか、体重減を引き起こす2型糖尿病薬を与えられた患者は、減った体重200gにつき1日あたり100カロリーも多く摂取していたことがわかっている。つまり、体重が減ると、実際、より空腹を感じるのだ。
これを避けるには、日々の食生活にもう少し多めにタンパク質を加えること(例えば、豆類や赤身肉を余分に)。そうすれば早く空腹感が満たされ、満腹感をより持続させる役にも立つとスタンフォード医師は言う。
ストレス解消を心がける
専門誌『Psychosomatic Medicine』に掲載された研究によると、1日1200カロリーを摂取した女性は、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌がより多く、ストレス値がより高いことがわかった。また、専門誌『Obesity』に掲載された研究でも、長期間コルチゾールにさらされていると体重増につながる可能性があり、もしくは、体重を減らそうとしている場合は、少なくともその進展が失速する可能性があることがわかっている。
そこで、ヨガや瞑想などでストレス解消を図ってみよう。同時に、体重減には一時的停滞期が存在するものだと知り、そうなった時は一息入れることが大事だと、ルポート医師は言う。自分の思い通りに進まないとストレスを感じやすい人は、日常的にセルフケアすることも加えてみよう。
食事日記をつける
「体重減の初期段階は、それまで体が経験したことのなかったカロリー減やエクササイズによって、急速に体重が落ちるかもしれません」と、Maya Feller Nutritionのマヤ・フェラーは言う。しかし、しばらくすると簡単に、再び悪い食習慣や座ってばかりの生活習慣に戻ってしまいがち。「一度に食べる量の制限を緩めてしまうことで、体重減を停滞させます」と、彼女。
そこで、ダイエットプランをちゃんと軌道に乗せるため、食事日記をつけることを彼女は勧める。毎日食事を記録した人は、しなかった人の2倍、体重が減ったという研究結果が『American Journal of Preventative Medicine』誌に発表されている。
筋肉トレーニングを増やす
有酸素運動を限りなくやることが体重減の近道だと考えがちだが、「筋力トレーニングもサボらないで」と、フェラー。「有酸素運動で体重は落ちますが、脂肪だけでなく除脂肪体重まで失ってしまいます。除脂肪体重を減らすと代謝率が下がり、体重減停滞期を引き起こしてしまいます」
そのため、1週間に最低2日は必ず筋力トレーニングをするのを忘れずに。「筋肉のほうが脂肪より代謝が活発です。つまり、除脂肪体重が多いほど、休んでいる時により多くのカロリーを燃焼するのです」と、フェラーは説明している。
もっとジムの外に出る
1週間に150分、エクササイズの時間を確保できたら素晴らしいけれど、ほとんどの人は1日の大部分を椅子に座って過ごしている。それは何の得にもならず、体重減停滞期を迎えている時はなおさらだ。
アクティブになるのは、何もジムの室内に限ったことではない。体重減の目標に向かって順調に進むように、動き続けよう。ただ立っているだけでもカロリー燃焼を促進すると、ルポート医師は言う。
また、階段を登るとか、お店の玄関から離れたところに車を停めるとか、ちょっと元気を出したい時にジャンピングジャックをするとか、毎日のルーティーンにカロリーを燃焼させるアクティビティを加えることもいいアイディアだ。
夜のアルコール摂取を減らす
体重減が停滞期に入っているのは、毎晩のワイン1杯(あるいは2杯)が原因かもと、オハイオ州立大学ウェクスナー・メディカル・センター(Wexner Medical Center)の公認栄養士リズ・ウェイナンディーは言う。「よくあることです。アルコールは血糖値を下げ、それが食欲を刺激します」と、スタンフォード医師。「同時に、体が脂肪を燃焼する能力を減少させるのです」と、付け加える。
お酒は1週間に2〜3杯に制限し、様子を見るようウェイナンディーは勧める。また、何かを食べながら飲むようにすること。これが血糖値が下がるのを制限し、ひどく空腹になる可能性を低くする。
控えめに"ヘルシー"と謳っている食品に気をつける
健康食品や、健康にいい食品がある。しかし、それらを食べ過ぎると、体重を減らす努力を低下させる。「例えば、ハチミツやナッツ、ナッツバター、グラノーラ、トレイルミックス、全脂肪乳、ヨーグルト、チーズなどです」と、Penn Medicine’s Metabolic and Bariatric Surgery Programの臨床栄養学スペシャリストのジュリー・パロットは言う。
これらの食品は悪いわけではないが、高カロリーで、ヘルシーであると思うがゆえに食べ過ぎる傾向があって、体重が落とせない。「できるだけ適量を食べるようにすれば、必ずまた体重減を活発にする役に立ちます」と、パロット。
繊維質を欠かさない
これは大きなポイントで「繊維質は胃の中に長く留まります」と、ウェイナンディーは指摘。その結果、満腹感を持続するのを助けるから、空腹に耐えかねて不健康な食品に手を出すのを防ぐことができる。
レンティルやブラックビーン、アボカドなど繊維質の豊富な食品をもっと食生活に加えて、お腹を満たす栄養素を摂ろう。
ワークアウトにHIIT(高強度インターバルトレーニング)を加える
ワークアウトでもっとも厄介なのは、体が同じエクササイズのルーティーンに慣れてしまうこと。「残念ながら、慣れるのはかなり早いですね」と、ウェイナンディー。
「インターバルトレーニングをミックスすると役立ちます」と、ルポート医師。「ランニングの途中にスプリントをやるとか、ジャンピングジャックをするとか、何か新しいものや慣れないものを加えると、体はもっと頑張って、もっとカロリーを燃焼します」と言う。
プラス、短期間で、よりワークアウトの効果が得られる。『Journal of Obesity』誌に掲載された研究では、HIITをやった人は、普通の有酸素運動だけをやった人より体脂肪が落ちたことがわかっている。筋肉は脂肪より重いということを憶えておこう。体重計に変化が見られなくても、服が緩くなっていることに気づくかも。
水のボトルを持ち歩く
体重減に関しては、水はゲーム・チェンジャーだ。まず、水分を補給することは、ワークアウトでも生活一般でも鍵になる。しかし、喉が渇いている状態を空腹だと勘違いしやすいと、スタンフォードは言う。「もし、食べたのにその1時間後に"空腹"だと感じたら、まずは水を飲んでみましょう」
食事の際は必ず野菜を食べる
「そうすれば、食べていたかもしれない高カロリー食品を、低カロリーでヘルシーな食品に置き換えられます」と、ウェイナンディー。毎食、野菜を加えれば繊維質の摂取量も増え、それがお腹を満たして満腹感をより持続させることにもつながる。
Translation: Mitsuko Kanno From Harper's BAZAAR UK
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