電動車に搭載した電池の劣化度を短時間で診断、自動車ディーラーで実証

東洋システムの電池評価装置。培った技術をベースに劣化度診断の事業化を目指す

東洋システム(福島県いわき市、庄司秀樹社長)は、電動車に搭載されたリチウムイオン二次電池(LIB)の劣化度を短時間で計測・診断する技術の実証を2022年1月に始める。首都圏の自動車ディーラー2店で行う。実証を通じて同年10月からの事業化を目指す。電動車の中古市場活性化や再生可能エネルギーへのLIBの再利用などにつなげていく。【図解】知っておいて損はない、リチウムイオン電池の仕組み実証する技術は、電動車などに搭載されたバッテリー診断機器を利用して30秒程度の充・放電で電流、電圧、電池温度のデータを取得。電池の初期特性モデルのシミュレートを基に内部抵抗増加率を算出、電池残存容量を瞬時測定する。劣化度の評価はクラウドベースで行う。導入費用は20万―30万円。東洋システムではこの電池評価システムで40件ほどの特許を取得しており、さらに60件が審査中だ。10月の事業化に当たっては1回の診断料を5000円(消費税込み)程度とし、普及に伴って料金を引き下げていく考え。評価システムの設置ディーラーが増加した場合は、データ分析センターを設置して対応する。LIBの劣化度を正確かつ簡便に計測できることで、電動車の中古市場の拡充や、定置型の再生エネ用バックアップ電源などとしてリユースすることが容易になる。また、工場単位で再生エネの電気をリユースバッテリーに蓄電・利用することで二酸化炭素(CO2)排出量の削減なども視野に入れる。

 電動車に搭載した電池の劣化度を短時間で診断、自動車ディーラーで実証