コロナ禍の「学校教育」と家庭の負担 主要政党の主張を比較

オンライン授業の必要性は全党一致

サブチャンネルづくりを

コロナ禍の「学校教育」と家庭の負担 主要政党の主張を比較

コロナ禍における学びのあり方/各政党の回答全文

【自民】コロナ禍にあっても、新しい時代の学びを支える教育環境を整備し、誰一人取り残すことなく子どもたちの学びを保障しなければなりません。学校での感染症対策を徹底しつつ、GIGAスクール構想で整備したICT環境を最大限活用してオンライン学習を推進するとともに、教員加配や学習指導員などの必要な教職員や経費の確保を着実に進めます。やむを得ず臨時休業を行なわなければならない場合も、学習指導の考え方を明確化したうえで、分散登校の活用や時間割編成の工夫などを行なっていきます。

【公明】コロナ禍において、不登校や病気療養などの事情を抱えて学校に通えない子どもたちが希望すれば学べるよう、個々の状況に応じた教育が求められています。そのために、たとえばGIGAスクール構想により、1人1台タブレット等が整備されている状況を踏まえ、ICTを活用した学習を推進するなど、学びの機会を確保することが重要と考えます。また、感染症など非常時に登校できなくても継続した学習ができるよう、タブレットなどを活用したオンライン授業の実施を推進します。

【立憲】端末やネットワーク環境の整備が進んでいますが、実際のオンライン授業の方法や内容は、学校や教職員によって差があるのが現状です。子どもや家庭の負担にも配慮しつつ、オンライン教育などへ対応するための学習支援員の増員などの支援体制の強化を行ないます。また、オンライン授業の内容については、国が一定のガイドラインを示すなど、教育効果の確保をすべきだと考えています。

【国民】国民民主党は一斉休校の混乱をくり返さず、学びを継続する、子どもコロナ三策を発表しました。そのなかでも経済・社会活動との両立として下記を提案しています。(1)オンライン授業の支援等、(2)学童保育等の支援体制の強化、(3)子どもに寄り添う保護者の支援、(4)コロナ世代の子どもたちを長期で見守る体制。一斉休校による学びの空白や、1年半以上に及ぶマスク学校生活による子どもたちの心身の影響を経年にわたって調査し、対策を講じます。

【共産】コロナによる子どものストレスは今なお継続しています。そのもとでの学びは、子どもの思いを受けとめ、行事などの時間も充分とり、柔軟に進めることが大切です。学びの質は、深い教材研究や、子どもと教員との生きたやりとりにあります。ICTはそれを豊かにする方向で活用すべきです。また、感染回避などの事情で登校しない選択をしている子どもたちが、授業にオンライン参加できるようになりました。私たちは、そのための条件整備とそれを基本的に出席扱いできるようにすることを求めています。

【維新】コロナ禍を機に、GIGAスクール構想における一人一台端末が前倒しになった影響は大きい。ICTを活用して教育コンテンツの充実化やきめ細かな端末活用を進める。デジタル教科書の利用やつまずいた箇所の再学習など生徒の学習データの活用の図り、学習についていけない生徒を減らす。不登校の生徒に対する新しい教育手段としても活用する。

【社民】子どもたち一人ひとりの表出(言動や表情)を教職員が受けとめ、専門性に基づく適切な問いで応答することの積み重ねが教育だと考えます。ICTを活用する場合もこの積み重ねが継続できるかたちでの活用が条件になると考えます。コロナ禍に伴いリモートを導入するならば、家庭の経済状況によって格差が生じないようにする必要があります。子どもたちが仲間といっしょに直接ふれ合って学び育つことは重要であることを踏まえなければならいないと考えます。

【N党】オンライン・オフラインそれぞれの特徴を活かしながら、それぞれの特性を活かし子どもにとって必要な学びを提供すべきと考えます。そのうえで必要に応じてパソコンやタブレットの配布、インターネット環境の整っていない家庭へWi-FiルーターやモバイルWi-Fi機器の無料貸し出しなど、オンライン授業を行なえるような仕組みを検討すべきと考えます。

【れいわ】1人1台端末によるオンラインによる遠隔授業は、ポストコロナにおいても、移動に制限がある子、難病で体調の変化が大きい子、入院中の子、あるいはいじめや人間関係が苦手で登校できない子などにとって有効と考えます。また、対面でのICTを使った授業は、聴覚障害者などの個別化されたニーズに対応しやすいというメリットもあります。その一方で、子どもたちどうし、教員と子どもたちが直に知識や意見を交わし合う、集団のダイナミズムが活かされる今までの授業のあり方は大切なものと考えます。ICTやデジタル教材はツールにすぎず、ようは教員がそれらを使ってどのような授業展開をするか、学びを保障するかが議論すべきところと考えます。そのためにも、新しい授業スタイルを模索しなくてはならない現場の教員の負担を減らし、とまどいや反発を解消していくための自治体、国の支援策が必要と考えます。

※各項目200文字程度での回答を依頼し、回答全文を掲載。漢字仮名づかいのみ筆者が校正。2021年10月25日公表の『不登校新聞』より抜粋