ついに「紙いらない」って思えた:メモ専用タブレットreMarkable 2

これで、紙とペンを探してごそごそする必要はなくなるかも。

「メモを取る」という、このシンプルなタスク。メモ取りアプリや手書き認識アプリはいろいろあるし、デバイスもスマホやタブレット、パソコンにスマウォとよりどりみどりなんですが、メモ取りにはどうにもリアルな紙とペン以上にしっくり来るものがない気がします。

でも米GizmodoのAndrew Liszewski記者によると、E InkタブレットのreMarkable 2は、そんなアナログ派も納得できる超自然な書き心地、使用感を実現してるそうですよ。以下、詳細レビューです。


2年前くらいまで、僕は電子ペーパーなんて時代遅れで、すべての人にとって無用の長物であると確信してました。その認識を良い意味で覆してくれたのが、リアルな紙とペンの使用感を完ぺきに再現したE Inkタブレット・初代reMarkableで、僕はこれを手に入れてからリアルなノートを使わなくなったくらいです。

その後継となるreMarkable 2は初代を超える書き心地を実現、アップデートされたハードウェアはものすごく洗練された印象です。これで読書用としてもKindleの代わりになれば完ぺき、なんですけどね〜。

より洗練されたデザイン

reMarkable 2は初代より本体が少しだけ小さくなりましたが、画面サイズは同じ10.3インチ、左のベゼルはむしろ大きくなって、片手で持ちやすく、画面をブロックせずに持てるようになりました。

reMarkable2の背面は前面プラスチックでゴム足は小さくなり、ケースにくっつけるマグネットが内蔵されてます。

電源/スリープボタンは本体上側左サイドになって小さくなったんですが、初代みたいに凹んでなくて押しやすくなりました。

reMarkable 2の厚さは4.7mmと、初代の6.7mmよりさらに薄くなりました。ただ重さはプレミアム素材を使ってる分、50g増えてます。

ついに「紙いらない」って思えた:メモ専用タブレットreMarkable 2

初代reMarkableにあった3つの操作ボタンはreMarkable 2ではなくなり、タッチスクリーンでの操作になりました。

初代reMarkableのデザインではE Inkスクリーンこそがスターで、それはもっともなことでした。全面ホワイトな筐体はスマートでミニマルで、「これは紙なんだ」って印象を強めてました。ただ、僕はガジェットをなるべくきれいにピカピカを保とうとするほうなんですが、それでも初代のプラスチックの白い筐体は汚れがちで、べたべたした指紋を拭くのが大変でした。それに対しreMarkable 2はライトグレーに金属のアクセントが付いてるのと、サイズが小さくなったことで、より垢抜けた感じがします。

初代ではmicroUSBだった充電ポートはreMarkable 2ではUSB-Cになって下側左サイドに、電源/スリープボタンも上側左サイドに移動しました。本体左サイドには金属のバーが付き、右サイドより若干厚く、片手でも画面をブロックしないで持てます。

初代では画面下部に3つあった物理ボタンもreMarkable 2では消え、操作にはタッチのジェスチャーが必要です。物理ボタンはやっぱりなくなると寂しいんですが、僕はもうボタンなしの状態に慣れてしまいました。

reMarkable 2は初代よりプレミアム感が増してるので、400ドル(約4万2000円)の価格も納得しやすい、かもしれません。ただ本体の重さが404g(初代は350g)と50g以上増えていて、初代に慣れてると違いはわかります。僕自身は初代がiPadよりだいぶ軽くて、ケースなしでカバンにポンと入れても平気っていう感覚が好きでした。純正ケース込みのiPad Proでも600gちょっととかなので少しの差かもしれないんですが、とにかくreMarkable 2は、初代に比べるともう少し丁寧に扱わないといけない感じがしてます。でもガジェットって、おもちゃのトラックみたいに頑丈であってほしいことがないでしょうか? 初代reMarkableがまさにそれだったんですが、reMarkable 2も長く使って見て同じように丈夫だといいなと思います。

スタイラスもアップデート

Apple Pencilみたいに、reMarkable 2のスタイラスも磁石で本体側面にくっつきます。

上から、reMarkable 2のMarker Plus(上)とMarker(中)、そして初代reMarkableのスタイラス(下)。

reMarkableは画面がざらっとしてる分、スタイラスのチップは長く使ってると交換が必要です。でもその分、ベストな紙とペンの書き心地が実現できてます。

reMarkable 2のMarker Plus(黒のほう)には消しゴム機能が付いていて、お値段は50ドル(約5300円)プラスに。

reMarkableの書き心地のカギはスタイラスだったんですが、reMarkable 2ではそれもリデザインされました。全体がホールド感の高いマットな仕上げになり、磁石内蔵でApple Pencilみたいに本体側面にくっつきます。初代reMarkableではスリーブケースに差し込むことでしか本体にくっつけられなかったので、このアップグレードは助かります。ただreMarkableの画面はざらっとしてるので、使ってるうちにスタイラスのチップが摩耗してきて交換の手間が出てきます。でもこのテクスチャーこそがiPadとApple Pencilにはできない「紙とペン」らしい書き心地を生み出しているので、そのためだと思えばチップ交換はそんなに負担じゃないです。

じつはこのスタイラスには、50ドル(約5,200円)のMarkerと100ドル(約1万500円)のMarker Plusの2種類があるんですが、僕的には高いけど後者が断然オススメです。Marker Plusには、reMarkableとしては初の消しゴム機能が付いていて、これだけでもreMarkable 2に買い換える意味があるとさえ思うくらいです。書き間違えたときにソフトの中のツールをいちいち使うより、スタイラスをクルッと(まさに消しゴム付きの鉛筆みたいに)逆さに持ち替えてゴシゴシするだけのほうがずっと直感的で、50ドルの差額の意味があると思います。

ハードウェア増強でレイテンシが半分に

僕は初代reMarkable以来、ソニーのデジタルペーパーも含めてE Inkベースの手書きタブレットをいくつか試してみましたが、どれを使っても結局、reMarkableがスタイラスの動きを画面に反映するラグを縮めるべく注いだ努力の偉大さを再認識するばかりでした。なので今までreMarkableの書き心地に並ぶデバイスは他になかったんですが、reMarkable 2はそれを上回ってきました。画面のスペックは10.3インチ、1872 x 1404と同じですが、RAMが512MBから1GBに、プロセッサが1.2GHzのデュアルコアに増強されたことが大きいんでしょうね。

reMarkableいわく、reMarkable 2のレイテンシは21ミリ秒と初代のほぼ半分になったそうで、たしかに使った瞬間に違いがわかりました。タブレットとスタイラスで何か書くときに問題が起こりがちなのは、全部大文字で書くときです。この手のデバイスは、短い線がぶつ切りになっているより、筆記体で続けてサラサラ〜っと書いたものの認識を得意とするのが常なんですが、reMarkable 2は上の画像みたいな全大文字でもまったく問題ありませんでした。もともと最高だったreMarkableの体験がさらに滑らかになっていて、どんなに手書きノート命な人でも簡単に乗り換えられて、決して振り返ることはないと思います。

読書利用は限定的、でも手書きノートとしては至高

ただ唯一、reMarkableユーザーが待望していたけどreMarkable 2で実現されなかった機能は、画面のバックライトです。もっと安いAmazon KindleとかRakutenのKoboでも画面は光るようになってるんですが、reMarkableの人いわく、これってそんなに簡単じゃないんです。reMarkableはスタイラスのチップとE Inkの距離を極小化すべく非常に薄いデザインなんですが、LEDを入れるとその分厚みが加わります。レイテンシもわずかながら大きくなってしまい、つまりは書き心地が落ちてしまうそうです。

なのでreMarkable 2は読書も含めたオールラウンドなE Inkデバイスにはなってないんですが、画面が大きくて電子書籍(epubファイルだけですが)とかPDFを読むのには非常に適しています。お値段がけっこうするので、Kindleみたいな電子書籍リーダーの代わりになってほしいところですが、少なくとも現世代では実現できてません。reMarkable 2が今注力してるのは、手書きノートや付箋紙、その他日々みんなが何か書き付けたいときに手を伸ばすすべての紙を、事実上不要にすることなんです。


以上、Liszewski記者でした。ちなみにreMarkable 2はこの記事執筆時点でプレオーダー受付中で発送は2020年11月予定とされていますが、当初の出荷予定が6月だったので遅れが出ているようです。また残念ながら日本への直接発送は受け付けておらず、日本での無線機器に必要な技適も取得していないものと思われます。