「Android」の新しいフラグシップスマートフォンが発表されるたびに、必ずと言っていいほど「iPhone」の最新モデルと比較される。スペック比較は楽しいが、実際には意味のないことだ。
そうしたAndroidの新モデルが、iPhoneと競合することはない。
例えば、サムスンの最新フラグシップ「Galaxy S22」の場合。このモデルはハイスペックで、iPhoneよりさまざまな面で勝っていることは間違いない。少なくともスペック上は。
例えば、Galaxy S22はRAMやバッテリーの容量が「iPhone 13」より大きく、充電速度も上だ。だが、問題はそこではない。
Galaxy S22はiPhoneではないのだ。
Androidのフラグシップデバイスは、iPhoneとは張り合わない。Androidデバイス同士で張り合うだけだ。なぜだろうか。
まず、iPhoneユーザーがAppleのエコシステムに深く組み込まれるのには、それほど時間がかからない。ひとたび「iMessage」を使うようになり、アプリやコンテンツを購入し、電球やサーモスタットを「HomeKit」対応のスマート電球やスマートサーモスタットに買い替えたら、ユーザーはAppleエコシステムのとりこだ。
iPhoneからAndroidデバイスへの(あるいはその反対の)乗り換えに関する正確なデータを見つけるのは不可能だが、ユーザーが乗り換えるとすれば、AndroidからiPhoneへ、というケースの方が多そうだ。
これが、iOSがゆっくりではあるが確実にAndroidのシェアを奪っている理由だ。わずかずつだが、実際に起きている。
ユーザーをAndroidに移行しにくくさせているのは、(乗り換えようとした人なら誰でも知っているように、それも大きな問題だが)「iOS」へのロックインだけではない。別の理由がある。
Appleの次期モデル発売サイクルは予測可能だ。毎年時計じかけのように定期的に、ピカピカの新型iPhoneが登場する。見た目も使い心地も先代(さらにはその先代)とよく似ているが、メディアやユーザーを引き付ける新機能を搭載している。
もちろん、サムスンのような他の企業も定期的にハードウェアをアップデートする。だが、一般的なユーザーにアップデートがいつかを尋ねても、ほとんどの人は答えられないだろう。iPhoneの場合はどうだろう。
私は、一般的なiPhoneユーザーでさえ、Appleのニュースに詳しいことに驚く。iPhoneの新モデルがいつごろ出るかも把握しているのだ。何年にもわたって毎年新モデルを定期的に発表してきたことに、Appleは報われている。
また、iPhoneは製品寿命が長めで、ハイエンドのAndroidデバイスより価値が長く続くようにみえる。もちろん価値は下がるが、中古のiPhoneが高く売れていることには驚く。
Appleは急いで流行を追ったりもしない。折りたたみスマートフォンもなければ、やたらタブレットを出してどれが成功するか試すこともせず、ブランドをいじりまわすこともない。
“iPhone”なのだ。
Appleのエコシステム内で新しいiPhoneを買う場合、検討すべきことは1つだけだ。それは、いくら払いたいか、ということだ。
AppleはサムスンもGalaxy S22も恐れる必要はない。むしろ、サムスンとGalaxy S22を恐れる必要があるのは、ハイエンドAndroidスマートフォンメーカーだ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。